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活性化事例

「年を取ったらここで暮らしたい」と思えるライフインフラづくり

各種連携

子育て・高齢者

安全・安心

コミュニティ

商店街名 高松丸亀町商店街振興組合/香川県高松市

日本有数の規模と歴史を誇る高松丸亀町商店街。大胆なエリアマネジメントを通して劇的な再生を遂げた同商店街が次に見据えるのは、「医療」。住みたくなる街を目指して、新施設の誕生や新しい連携の仕組みまで、しなやかな発想に導かれた挑戦が、いま始まろうとしている。

独創的な手法でまちづくりを進め全国から注目を集める あの商店街のネクストステージは“医療”にありました。

快適な暮らしを支える 医療機能こそ商店街に
高松丸亀町商店街振興組合 
理事長 古川康造さん

「原点に、立ち返っただけです」
平日にもかかわらず多くの来街者でにぎわう、高松丸亀町商店街。行き交う人々を横目に、同商店街振興組合理事長の古川康造さんは、穏やかに語る。
「そもそも商店街は、たくさんの人が生活しているなかで自然発生的にできたもの。だからこそ、商店街は居住者の生活と密接にリンクしているし、その暮らしの部分を支えていくのは自然なことです」そこで、同商店街が現在着手しているのが、これからの高齢化社会に備えた地域包括ケアシステムの構築だ。

「再開発が進み、人とにぎわいが戻ってくるのと並行して、街に求められる機能はどんどん増えています。そのなかで重要なのは絶対的に医療でした」と古川さん。その構想は壮大にして緻密だ。手始めにつくったのは「美術館北通り診療所」。実は高松市には大病院がいくつもあるが、進む郊外化で街なかには地域に密着した町医者が不足していた。そこで’10年、地元出身のドクターを院長に招き、住人が気軽に歩いて通えるかかりつけ医を誕生させたのだ。この診療所は、入院施設がないのも特長だ。
「マンション一体型の診療所なので、上の階にはたくさんの住人(400戸)がいる。だから、入院施設は置かない代わりに、往診回診に行く。お医者さん目線だとマンションの各戸は病室であり、住人にとっては自室が落ち着ける最高の病室になる。検査機器は最新のものを備えているので、万一、リスクが見つかった場合は、連携している地域の大学病院などにつなぎ、そこで高度医療を受けるという仕組みです」

この、住みながらにして医療の不安をなくす医住一体型の施設に確かな手応えを得た古川さんは、地域で循環する医療システムの構築にも取り組んでいる。商店街内に診療7科目と薬局からなる丸亀町総合医療モールを核にして、その管理下に「予防医療」「健康レストラン」「保育園」の3施設を置くというものだ。

予防医療を担うボディバンクでは健康データを計測でき、それを継続管理。そのデータをもとに理学療法士がメニューをつくるトレーニングでリスクを解消したり、病気が予想されれば通院を促すという仕組みだ。健康増進にまつわる講座やトレーニングも行え、利用者に「健康寿命は自分で守る」という意識を醸成させている。
健康レストランの「菜園’sCafe」では、患者データに応じ、管理栄養士が個別のレシピを用意。将来単身世帯になった時の高齢者の食事とコミュニティの場所としての機能も備えている。保育園も病院の管理下にあり、ドクターが常駐。また給食は菜園’sCafeが手がけ、アレルギー完全対応のメニューを提供している。

「これからの時代は、〝医食住〞。そのすべてが高いレベルで満たされる商店街でありたい」そう古川さんは志を語る。

この街に住みたい!そう思える商店街を

地権者と協力して行った大胆な再開発や公的補助金を土地の価値を高めるための〝投資〞と捉えた戦略など、革新的な取組みを行ってきた同商店街。その根底にはひとつの確信がある。
「私たちの取組みの目的は、この街なかに居住者を取り戻す、ということに尽きます。人が戻れば需要が生まれ、それが商店街の持続的な発展につながるからです。だから、この街で生活してみたいと思っていただけるようなライフインフラが必要なんです。医療もそのひとつです」

実際、高松市では一時期、車社会が進み郊外へ人口が流出したものの、現在はコンパクトにライフインフラが整った中心部に回帰。居住人口、売上、地価、来街者のすべてが増えている。
「大切なのは、仕組みなんです。うまく地域で循環し、住民のみなさんにメリットをもたらす仕組みを考え、そこに必要なハードを置くことが商店街再生では重要だと考えています」
その取組みのベースにあるのは、とてもシンプルな心構えだ。

「街に暮らす一員として、私たち自らが『年を取って車を運転できなくなった時、どんなハッピーな生活をしたいか』ということを突き詰めること。それが、結果的に地域全体のためにもなるんだと思います」
これからの商店街のあり方のヒントはこの街に詰まっている。

★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2018 Autumn(秋号)に掲載されています。
「EGAO」をご覧になりたい方はこちらへ。

商店街活性化の情報誌「EGAO」

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