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活性化事例

新しさに秘められた商店街の本質“進取の精神”が持続可能な商店街をつくる

地域振興

各種連携

情報発信

商店街名 ハッピーロード大山商店街振興組合/東京都板橋区

200を超える店舗が連なるハッピーロード大山商店街は、平日でも 3 万人が訪れるにぎやかな商店街。その元気の源は、「何でも一番にやってみよう」という組合員たちの気概だ。この〝進取の精神〟が時代を先取りする数多の取組みを生み、地域住民の生活を豊かにしている。

シンガーソングライターとして活動し、2014年からハッピーロード大山商店街の公認アイドルを務める「CUTIEPAI・まゆちゃん」がイメージキャラクターとして電気事業を積極的にPR。個性的な発信方法が光る

最新事業の「電気」で地域を明るく照らす

「みらい明るく大山ハッピーでんき」——商店街の公認アイドル「CUTIEPAI(キューティーパイ)・まゆちゃん」が、腕を大きく広げて笑顔でP Rしている。ハッピーロード大山商店街振興組合の100% 出資会社「まちづくり大山みらい」のホームページ画面だ。 そう、この「大山ハッピーでんき」こそが、同商店街が目下推進している斬新な取組み、電気事業である。
同商店街は、2009 年にCO²削減対策として、全国の商店街に 先駆けてアーケードの照明をLED化、削減したCO²排出量 を大手企業に販売する「排出権取引」を行い、「省エネ化・エコ化のまちづくりを推進する商店街」としてマスコミに報じられた。

「まちづくり大山みらい」が電力事業者から供給される電気を代理販売。同社のHPでは電気代がシミュレーションできる。現状では商店街の店舗と近隣住民を中心に展開する

それがきっかけとなり、2015 年、板橋区の次世代環境都市(スマートシティ)先進事例として、 区とスマートシティ企画株式会社とともに、経済産業省の補助事業に参画。「地産地消型再生可能エネルギー面的利用等推進事業費補助金」を活用し、調査と構想策定を行った。そして2017 年、その検証結果を踏まえ、正式に電気事業「大山ハッピーでんき」に乗り出す。「大山ハッピーでんき」は、電気の代理販売を行う事業。電力自由化に参入した小売電気事業者が供給元となっているため、より経済的に電気を使用することが可能となっている。

注目すべきはその収益を、例えば商店街の沿道緑化や地域のプロレス団体との連携など、地域還元事業として活用するスキームを組んだことだ。
現時点での「大山ハッピーでんき」への主な加入者は商店街の店舗だが、今後は住民への周知活動に力を入れ、地域内でエネルギーが循環する社会の実現を目指していく。

時代を見据えて先手を商店街の伝統は“新しさ”
ハッピーロード大山商店街振興組合理事長の石川政和さん(左)と、同商店街第1事業部部長の臼田武志さん(右)。 年長者が次世代の挑戦を後押ししている

電気事業や、アイドルを使った情報発信。これらに代表されるように、ハッピーロード大山の事業の特徴は、〝進取の精神〞という言葉に尽きる。そしてそれは、この商店街の伝統だ。「商店街の歴史は 50 年になりますが、昔から若手が企画を提案しては先輩から、『それはどこかでやっている。どこもやっていないことにこそ、チャレンジする価値がある』と言われていたそうです」

そう語るのは、理事長の石川政和さん。その精神は、時を経て、商店街が運用するさまざまなソフト・ハード事業で花開く。

例えば、2005 年にスタートした、商店街の広域型連携の先駆けともいえる「アンテナショップ事業」。この事業で運営しているアンテナショップ「とれたて村」は、「百貨店で開催されるような物産展を、商店街でも」という発想から実現したものだ。全国 9 市町村と提携し、各地の名産品を集めて売り出したところ、大きな反響を呼んだ。現在では提携数が15 市町村に増え、収益も安定。商店街の大きな財源となっている。

さらに、「とれたて村」の運営を通して培った地方との協力関係は、商店街のコミュニティ 事業も充実させる。提携先の市町村の職員や修学旅行生が商店街を訪れ、郷土のPR活動として試食イベントや文化イベントを行ったり、それとは逆に、来街者から参加者を募り産地を訪問するツアーなども実施したりと、商店街が複数のコミュニティをつなぐハブとなり、地域住民を楽しませている。

情報発信の手法も独創的。生配信番組「ハッピーロード大山 TV」をYouTube上に開設し、定期的に商店街の最新情報を届ける。番組には前出のアイドル「まゆちゃん」の他に、同じく商店街公認プロレスラー「ハッピーロードマン」が所属する「いたばしプロレスリング」の面々も登場。彼らが商店街を歩くとあちこちから声がかかる人気ぶりだ。

他にも、シルバー人材を起用した自転車マナーの啓発活動、 地元の子育て世代から1000 人もの参加者を集めたハロウィンイベントなど、時代を反映した新しい取組みを行ってきた。 「新しいことを継続的に打ち出していくことで、『飽きのこない商店街』というイメージをお客様に持っていただける。それが、次世代の商店街ファンをつくることにもつながっているのだと思っています」と話すのは、同振興組合の第一事業部部長・臼田武志さん。広報とイベントの企画・運営を担当する臼田さんは、商店街の〝進取の精神〞 を具現化する若手役員である。

商店街には臼田さんの所属する事業部の他、環境部や財務部、総務部などもあり、そのガバナンスは堅固だ。30〜40代の世代が中心となり、自らの商売の合間を縫い、理事会や部会、委員会をこまめに開いて、次々にものごとを決めていく。その彼らが見据えているのは、やがて押し寄せてくる再開発の波だ。「この地域は、商店街が道路で分断されるような大規模再開発が予定されているんです。何もしないとその波に飲まれてしまう。その時が来ても商店街が元気でいられるよう、いま、打つべき手を打たなければ」(石川理事長)


その〝打つ手〞として、商店街は 2015 年に、前出の「まちづくり大山みらい株式会社」を設立、 電気事業など利益を生む事業を掘り起こしながら、積極的に活動を進めている。再開発でさらに強くなる商店街を目指し、ハッピーロード大山はチャンレジを続けていく。

★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2019 Spring(春号)に掲載されています。
「EGAO」をご覧になりたい方はこちらへ。

商店街活性化の情報誌「EGAO」

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