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商店街からプロ選手を育てたい!eスポーツで拓く地域の未来

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地域振興

各種連携

商店街名 岡山駅前商店街振興組合/岡山県岡山市

今話題のeスポーツイベントを矢継ぎ早に開催し、注目を集める岡山駅前商店街。地元企業と連携し、子どもからお年寄りまであらゆる世代や立場の人が一緒に楽しめるこの新しい取組みの土台には、商店街と地域の未来を見据えた大きなビジョンがあった。

2019年1月、ジュエリーショップの店内で開催されたeスポーツ体験会。機材設営や運営には地元の民間事業者で立ち上げたまちづくり会社も協力。プロゲーマーの「タケ。」さん(左)の技を生観戦し、直接レクチャーを受けたり、対戦できたりという貴重な機会に、親子連れや若者が次々と訪れ、技が決まるたびに大きな歓声があがった

地域の資産を活かした eスポーツイベント
左から、山佐株式会社の森田毅さん、岡山駅前商店街振興組合の土居和正さん、同・山本将徳さん

立地の良さから県内屈指のにぎわいをみせる岡山駅前商店街。ここで最近、話題を集めている取組みがeスポーツイベントだ。
eスポーツはコンピューター ゲームを使って行う競技、スポーツ全般のこと。競技人口は1億人以上とも言われ、2018年のアジア競技大会では公開競技として採択され、今後はオリンピック種目になるとも予想されている。その大きな潮流に、同商店街はいち早く乗ったのだ。

まずは2018年5月、プロチームのエキシビションマッチや、参加者同士の対戦会を開催。多くの観衆や参加者を集め、メディアでも取り上げられるなど反響は大きく、イベントは、11月、翌2019年1月と続く。

「もともと、〝地域にある資産を活かして、新しいものをつくろう〞という考えが商店街にありました。そこで、どの商店街でも行っていなかったeスポーツに着目し、地元企業で遊技機メーカーの山佐株式会社さんにお声がけしました」と、同商店街振興組合事務局の山本将徳さん。山佐は、自社で支援するプロゲーマーがイベントに参加。参加者に対して格闘ゲームの楽しさを分かりやすく伝えるなどして、場を盛り上げている。同社の森田毅さんは「我々も初の試みでしたが評判も上々で、何よりeスポーツを体験してもらえる機会になる。一般ユーザーの生の声は今後の製品開発にも活かせそうです」と手応えをみせる。

2018年11月の体験会イベ ントでは、商店街にある家電量販店、老舗映画館が機材提供で協力。迫力ある大スクリーンで見る試合展開に、会場はスポーツ観戦同様の盛り上がりを見せた

「実際にやってみると、商店街とeスポーツの相性の良さが浮き彫りになった」と話すのは同振興組合理事長の土居和正さん。「体力や年齢を問わず誰もが一緒にプレイ・観戦できるeスポーツは、多様な人が集まるコミュニティである商店街にぴったりだったんです。若者はこのイベントをきっかけに商店街を訪れるようになり、一方で高齢の方々は、eスポーツに気軽に接しながら、世代を超えた新鮮な刺激を得ている。車椅子で観戦していた方が最後はステージに上がってプレイする一幕もありました」

実際、eスポーツは認知症予防やリハビリにも効果があるとされており、岡山県が医療特区であることと紐づけ、今後は医療面での活用も期待されている。また、いずれはこの地に大学などeスポーツの教育機関を誘致するという考えもある。すると、新しい世代が街に流入する。つまりeスポーツは一過性ではなく、まちづくりのコアアイデアとして考えられているのだ。「岡山駅前では大規模な再開発が予定されています。この機を逃さず、企業や行政などと連携し地域一丸となってeスポーツを活かしたエリアマネジメントを行っていきたい」と土居さんは意気込む。

「eスポーツの選手育成をし、ゆくゆくは岡山駅前商店街出身のプロ選手を輩出したい。そうしてeスポーツのメッカとなり中国四国大会が開催できたら、街はさらに元気になります」と夢を描く山本さん。新しいテクノロジーや潮流をどう商店街に活かし、広げていくか。その大きな命題に、岡山駅前商店街は今まさに取り組んでいる。

★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2019 Spring(春号)に掲載されています。
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商店街活性化の情報誌「EGAO」

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