平成22年度事業レポート

平成22年度 現地マネージャー育成事業

実施期間:平成22年9月~平成23年3月

目     的:現地に根づき商店街活動の核となる人材を育てます。

事業概要:
商店街活性化に貢献する新たな担い手となる人材を、現地での実践を通して、商店街の次世代リーダーや地域に根づくマネージャー人材へ育てる取り組みです。
育成には、まちづくりのノウハウをもつ企業・団体が商店街と協力し現場での教育訓練をサポート。現地マネージャー候補に対し独自の育成プログラムを実施して、マネジメント能力を磨くと同時に、地域や商店街との協力体制づくりを行います。

<めざす現地マネージャーの姿>
●商店街や地域の課題解決のため、中長期の計画を策定することができるマネージャー
●地域とのコミュニケーションを図り、地域から信頼されるマネージャー

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成     果
・5機関で17地域(17人)の現地マネージャー育成を行い、マネージャー候補のスキルアップと、対象地域でのイベント事業や活性化計画策定等の商店街活動が推進されました。

・現地マネージャーを通じた商店街へのノウハウ紹介等による商店街会員のモチベーションアップや、積極的な情報発信による住民等外部PRの機会を創出した地域もありました。

・事業終了後は、現地雇用(緊急雇用創出事業活用含む)、商店街組合員(商業者)、ボランティア等様々な立場で商店街活動のマネジメントやサポートを継続しています。

・対象地域固有の課題に基づく現地マネージャー育成により、多彩な育成プロセスが蓄積されました。

 

No. 受託機関 事業対象地域
1 株式会社KITABA 北海道札幌市発寒北商店街
2 北海道江別市野幌商店街
3 北海道帯広市帯広電信通り商店街
4 北海道旭川市旭川豊岡商店街
5 株式会社ランナーズ・ウェルネス 沖縄県石垣市中央商店街
(ユーグレナモール)
6 沖縄県沖縄市センター商店街
(中央パークアベニュー)
7 岡山県倉敷市美観地区
8 群馬県桐生市桐生本町通り
9 栃木県宇都宮市ユニオン通り商店街
10 神奈川県小田原市商店街
11 有限会社ハートビートプラン 山口県下関市豊前田・細江地域
12 有限会社 協働研究所 滋賀県守山市中心市街地地域
13 和歌山県田辺市中心市街地地域
14 兵庫県神戸市岡本商店街
15 京都府舞鶴市東舞鶴商店街
16 大阪府高槻市中心市街地地域
17 特定非営利活動法人
コミュニティ事業支援ネット
兵庫県西宮市甲子園口商店連合会
 

篠山市「ササヤマルシェ2010」出店を経て開業

平成22年度新たな商店主育成プログラム事業

厳しい経済情勢の中、地域の活性化を促す方法のひとつとして、街の持つ歴史や価値を 今一度見直し、発信する取り組みが全国商店街支援センターによって行われました。

“ササヤマルシェ2010”が街に若い観光客を呼び寄せる

今回、「平成22年度新たな商店主育成プログラム事業」を受託したのは、兵庫県篠山(ささやま)市の一般社団法人ノオト(以下「ノオト」)です。篠山市は、17世紀に築城された篠山城を中心として、武家屋敷群、妻入り商家群で構成される城下町で、その町割りが現在も継承されています。しかし近年、幹線道路沿いの大型店にも買い物客が流出し、ここ5年間で中心商店街の店舗数は約350軒から約300軒に減少してしまいました。篠山市を拠点に歴史文化施設の管理運営や集落の再生などを行っているノオトは、そのような現状を踏まえ、古民家を活用した空き店舗再生によって町並みの保存と新たな商店主の創出を実践しました。

ノオトは、継続的に開業する可能性のある人材発掘を含めたイベントとして、2010年10月にものづくり市“ササヤマルシェ2010”を開催し、17組が新たな商店主候補として出店しました。“ササヤマルシェ”の舞台となったのは、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている河原町妻入商家群と、御徒士町武家屋敷群周辺です。住居の一部や軒先を店舗として利用するササヤマルシェは地元住民の理解が必要ですが、ノオトの企画課課長の谷垣友里さんは、「会場となった河原町商店会の皆さんは、家を開放し、一般の方に見てもらいつつイベントに協力することに対して好意的でした」。また、町の活性化を願っている河原町商店会の会長は「思い切ってやりなさい」と背中を押してくれたそうです。
ササヤマルシェは10月の土日、祝日の計9日間の期間中、京阪神地域を中心に約1万人が来街し、普段の10倍以上の人出で賑わいました。20~30代のカップルが多く、それまで篠山を知らなかった若い世代に街の魅力をアピールする絶好の機会となりました。

平成22年度新たな商店主育成プログラム事業

“ササヤマルシェ”を経て、新たな商店主が誕生
開業へのテスト期間ともいえる“ササヤマルシェ”への出店を経て、「岩茶房 丹波ことり」、「ナチュラルバックヤード」が開業しました。

 

●「岩茶房 丹波ことり」
柴田咲美さんは自然に囲まれた古民家で中国茶や菓子や点心の店「岩茶房 丹波ことり」を開業しました。地元住民にはコミュニティの場として、観光客には日常を離れたくつろぎの空間として利用されています。「篠山を1日楽しんでいただくために、店同士が横のつながりで紹介し合ってお客さまに情報提供をしています。お客さまにはゆっくり落ち着いていただける環境ではないかと思います」と柴田さん。谷垣さんは、「柴田さんは、歴史ある建物の特性を理解してピカピカの新しさにせずに、古民家の風合いを現代の生活になじませるような趣で再生してくださった。商店街から離れていますが、わざわざ行きたくなるほどのおいしいお茶やお菓子の魅力もあります」と太鼓判を押します。

柴田さんは「新たな商店主育成プログラム事業」を通じて情報発信や商品研究等を補って頂いたことで、集客や商品開発に役立ち、広範囲に向けて発信する基礎になったと話しています。

新たな商店主育成プログラム事業

●「ナチュラルバックヤード」
手作りの木工雑貨や天然木のおもちゃを販売する「ナチュラルバックヤード」を経営する足立伸也さん、留美子さん夫妻は、“ササヤマルシェ”での予想以上の集客に自信を持ち、開業を決意しました。「大家さんの好意で店舗の裏にあるガレージを工房として使えることになり、お客さまとの対話ができるので、フルオーダー家具の注文も入るようになりました」と留美子さん。足立夫妻は、社会福祉協議会の子育て支援のイベントに木のおもちゃの無料貸し出しを行うなどの地域貢献にも努めています。店内の一角は子どもたちが遊べるスペースになっており、ママ仲間の憩いの場としてコミュニティが生まれつつあります。
今後は店舗2階での工作ワークショップも予定しているそうです。

足立さんは11月のオープン当初、客数が伸びずに苦しみましたが、ササヤマルシェの来店者がリピーターとなって口コミでオーダーが増えたことに、「新たな商店主育成プログラム事業を通じたササヤマルシェのおかげです」と話しています。

新たな商店主育成プログラム事業

 

新たな商店主育成プログラム事業によって地元と商店主とのパイプ役となったノオトの谷垣さんによると、「この度の事業はササヤマルシェでの商店主育成と、実際の開業支援の2段階の流れで実施しました。大阪・京都・神戸から90分圏内という地の利を生かして、わざわざ来ていただけるような本物志向のお店の情報発信を考え、商店主候補を募りました。篠山は生活感もある上質な観光地ですので、地域との出会いや、商店会の体制や既存店に新しい風を吹かせてくれる方に出店していただき、バランス良く取り組めたと思っています」。
空き店舗は改修費がかさみ、予算面での調整で厳しい点もありますが、新たな2店舗の出店は、地域コミュニティの担い手として貢献できる人材の発掘であり、古民家に新しい価値を見出す若い世代への発信力にもなっています。

新たな商店主育成プログラム事業

最終更新 (2011年 3月 28日(月曜日) 14:53)

 

「若者の街」から「おしゃれな街」へ大きく変貌する柏の商店街

商店街活性化支援プログラム事業

都心から約30㎞、千葉県の北西部に位置する人口40万余りの柏市。「音楽とアートの街」として、若者たちから絶大な人気を博してきた街・柏も、地域経済にかげりがみえてきたようです。そのようななか、全国商店街支援センターの支援メニュー「商店街活性化支援プログラム」を活用し、さらなる躍進をめざし「若者の街」から「おしゃれな街」へ大きく変貌しようとしています。
すでに、事業計画はスタートしており、2011年(平成23年)2月17日「第4回 柏駅東口グランドデザイン協議会・役員会」が、京北ホールで行われました。

駅前に建ち並ぶ商店街
柏駅東口周辺は、1973年(昭和48年)、日本で初めての市街地再開発事業によって再開発ビルが整備され、そごう柏店や丸井柏店、ファミリかしわ、スカイプラザ柏などの大型店も立地。
そのまわりには、柏駅前通り商店会、柏二番街商店会、協栄商店会などの商店街にブティックや飲食店などが多数連立し、常磐線沿線を代表する商業都市となっています。
現在、駅前のメイン通りは、電線を地下に埋設し、植栽が施された歩道にはベンチが設けられるなど、整った景観です。

千葉県柏市

「若者の街」といわれてきたわけ
数年前までは、駅前のぺデストリアンデッキ(通称:Wデッキ)で、多くのストリートミュージシャンたちによるライブ演奏の音が鳴り響いていました。駅から歩いて1分の「柏二番街商店街」では、路上で絵を描くパフォーマンスや「JOBANアートラインプロジェクト柏」によるアートイベントなども繰り広げられていました。休日になると、柏駅前通りは歩行者天国になり、屋外空間を舞台とした地元関係者によるイベントが開かれ、街は若者たちであふれかえっていました。その結果、若者に人気の古着やファッション雑貨などを扱う店が裏通りに増加し、「裏カシ」ともてはやされ、「若者の街」というイメージが定着したのです。
しかし、若者たちでにぎわっていた柏の街も、時とともにその風貌が変わりはじめてきました。その要因には、①2005年のつくばエクスプレスの開通により、柏駅の乗降客が減少したこと、②つくばエクスプレス開通に伴い、大型ショッピングセンターが相次いで出店、③駅周辺の商業施設の老朽化などによる魅力の低下、などが挙げられます。
「2008年(平成20年)のリーマン・ショック以降は、集客が低迷。商店街の売り上げが、2年間も続けて下落という状況になったとき危機感を覚えました。このままでは街が衰退してしまうと判断し、手を打つことにしたのです」と、語るのは柏二番街商店会理事長の石戸新一郎さん。
「街づくりの仕掛け人」として各方面から注目されている方で、現在、柏駅周辺イメージアップ推進協議会・ブランディング委員長も務めています。

 

「ブランディング委員会」を設立
柏に来街者を呼び戻す新たな戦略が必要となったため、柏駅周辺イメージアップ推進協議会内に「ブランディング委員会」を設立。
この会の目的は、郊外の大型ショッピングセンターとの差別化をはかり、多様な消費者ニーズに対応するため、商店街のブランド化のビジョンを描くことです。そこで、新しい時代に合った商店街をイメージし、駅周辺のトータルなビジョンをも決めることにもなったのです。
そこでまずは、商圏調査や地域住民への各種アンケート調査を実施。それらを分析して対象地の問題を抽出し、さらに研究に研究を重ねていきました。
その結果、「若者の街」から「おしゃれな街」へのイメージチェンジの必要性に意見が一致。それを具現化するためには、柏駅東口周辺の景観をおしゃれに装う必要がありました。



駅前には、オープンカフェがお目見え?
「おしゃれな街」とのキーワードで駅周辺を見わたすと、現在、柏駅前の歩行者用Wデッキは老朽化が進み、柏市が全体補修と耐震補強の改修工事を進めています。この工事によってWデッキ上部は、コンクリート製の壁面からガラスを多用したデザインに一新し、見通しがよくすっきりしたモダンな印象になるとのこと。
ただ、Wデッキ下部は工事の対象に含まれていないため、未着手のままになっていました。これでは、景観として考えても上下間に差が生じ、美しくありません。ましてや、ここは駅前の重要なスペースです。
「ブランディング委員会」は、ビジョンやブランドイメージに添って考え、駅前のオープンスペースを商店街が主体となって整備し、有効利用することにしました。
協議会の設立に先立って地域住民へ実施したアンケート調査の結果、「買い物途中で休息できるオープンカフェが欲しい」との声が多かったことを考慮。駅前のスペースに、オープンデッキのカフェを設けることになったのです。そして、Wデッキ下部の約2300㎡のスペースを拠点にし、柏の街を大きく変貌させる青写真が完成したのです。
2012年(平成24年)の春までには、ファミリかしわ前のイベント広場にカフェが完成予定。また、そごう前にイベント広場が、スカイプラザ脇にはオープンカフェが誕生する案になっています。広場を核にして集客策を練るほか、ブランド専門店の誘致など、さらに大人が楽しめる街づくりをめざしています。

千葉県柏市2

国の地域商店街活性化法に基づく補助金を申請
整備するための予算を捻出するため、国の「地域商店街活性化法」に基づく認定を申請することに。その結果、認可されれば、経済産業省から補助金(中小商業活力向上補助金)の増額が受けられることになります。
申請時に策定された商店街活性化支援プログラムにより、企画構想、事業計画などが、いちだんと緻密に練りあげられました。


今後に向けて
今後、広場の整備とあわせて、実施主体である商店街、柏市、商工会議所などの「ブランディング委員会」と「柏駅東口グランドデザイン協議会」の関係者が一堂に会して調整。また、全国商店街支援センターの支援を受けながら、新たな街づくりに向けてのコンセプトを詰めていく方針です。
古着屋など従来の若者向け店舗に加え、ブティック、高級ブランド店など、より幅広い年齢層の人々が、街を「回遊」しながら楽しむことができる店舗の誘致を検討しています。

千葉県柏市4

最終更新 (2011年 3月 11日(金曜日) 13:59)

 

「取り組み事例から学ぶ未来志向型商店街」 テーマ研修セミナーが開催されました

子育てにやさしい いわきの商店街づくりを

豊かな自然環境と温暖な気候風土に恵まれた、人口34万3000人余りの福島県いわき市。駅前には、平成19年10月に誕生した地上8階、地下2階建ての再開発ビル「LATOV(ラトブ)」が圧倒的な存在感を示しています。

テーマ別研修事業

平成23年2月7日、LATOV 6階にあるいわき産業創造館の会議室で、全国商店街支援センター主催の、「取組事例から学ぶ『未来志向型商店街』研修セミナー」の模様をご報告します。

 

「未来志向型商店街 」テーマ別研修セミナーの目的
現在、全国各地の商店街は、空き店舗の増加や後継者不足、来街者の減少といった厳しい状況に直面しています。これを打開するために「全国商店街支援センター」は、経済主体に加え、地域コミュニティづくりの担い手として、取り組んでいる『未来志向型商店街』を全国から選抜。モデルとなる先進的な商店街の事例を、テーマ別に学ぶために研修を通して紹介してきました。
テーマは、①「環境にやさしい商店街(エコ、環境)」、②「地域にやさしい商店街(地域連携、業種連携)」、③「人にやさしい商店街(子育て、高齢者対応)」、④「集い、楽しい商店街(文化、資源の活用)」の4つ。
いわき市は、「人にやさしい商店街」事例・10カ所のうちのひとつに選ばれました。

 

いわき市における商店街活性化への取り組み
セミナーではまず、取り組み事例「人にやさしい商店街」10カ所について報告。さらに、商店街活性化のコンサルタントとして、全国の商店街を元気づけている岩切淳子さんが、モデル化事業の報告を行い、次に、いわき市の取り組みが紹介されました。熱く事例を紹介したのは、事業実行委員会委員長の「ネーブルシティかしま」庄司秀夫さんです。

きっかけは、平成19年度。福島県が子育てしやすい環境づくりを県内全体で推進するために、市や企業と連携して「子育て応援パスポート(ファミたんカード)」事業を実施したことにさかのぼります。このカードを18歳未満の子どもがいる家庭に交付し、提示を受けた協賛店がいろいろなサービスや特典を提供するというものです。
ところが、いわき市では当初、「ファミたんカード」の協賛店が少なかったそうです。このことが、さらなる子育てにやさしい商店街をめざす取り組み開始のきっかけになりました。

テーマ別研修事業

子育て応援パスポート「ファミたんカード」  
平成20年1月、市内の商店会のひとつ「ネーブルシティかしま」の庄司会長を中心に、いわき市内全域の商店会などが連携し、「子育てにやさしい いわきの商店街づくり事業実行委員会」が設立されました。「ネーブルシティかしま」は、商店会という枠にとらわれず、病院、幼稚園、銀行など、さまざまな企業団体からなる組織。事業実行委員会のメンバーも、商店会連合会のほか、商工会や商工会議所、市の保健福祉部や商工観光部などで構成されました。
そして、「子育てにやさしい いわきの商店街づくり」宣言を実施。地域の子育て世帯を応援し、安心して子どもを生み、育てられる社会の実現に向けて、地域コミュニティづくりの一翼を担うことになったのです。当初協賛店は170店でしたが、20年度中に740店と急増。2,430世帯が「ファミたんカード」の利用者となりました。協賛店の一例を紹介すると、例えばレストランでは、ランチ100円引き、歯科医院なら歯ブラシプレゼントなどのサービスが受けられます。

 

さまざまな事業で子育てを支援
その一方で、カード利用者へのサービスばかりでなく、職場体験などといった、さまざまな子育て支援サービスも実施しています。
当初、実行委員会は、子どもの食育という観点から、親子料理教室を開催。さらに21年度には、職場体験「こども店長」事業を実施することにしたのです。「参考にしたのは、東京都江東区にある『ららぽーと豊洲』のキッザニアです。見学したら、子どもとその家族でいっぱい。子ども本位の環境になっていて、体験学習が熱心に行われていました。いわきに帰ったら、本物の店で実践することができると、直感したのです」と庄司さん。

 

さらに期待される成果
今回の取り組みについて、事業実行委員会のメンバーからは…
○ファミたんカード事業などの取り組みを通して、各商店とお客さまとの間に会話が生まれ、子育ての悩み相談も受けるようになるなど、絆が深まりました。
○子育て支援は売上増に直接的な効果をもたらすものではないものの、事業への参加者の間に社会貢献に対して意識が高まったようです。
○いわき市は、14市町村が合併してできたため、いままで市内すべての商店街間で連携する動きはなかったようです。それが、実行委員会が主体的に活動することで連携体制が築け、まちづくりにおいても協力して取り組む気運が芽生えました。

・・・といった意見が寄せられています。
講師を務めた岩切淳子さんは、「商店街は、物を買うだけの場所という割り切り方はできないはずです。商店街の街路灯ひとつ消えても、そこに住む人たちは困るわけですから。相手に喜んでもらうのが商売の原点。人と人、心と心を通わすことができるのが商店街だと思います」と感想を述べられました。
子育てにやさしい商店街の実現には、まだまだ課題はありますが、今後の取り組みに注目していきたいものです。

テーマ別研修事業

最終更新 (2011年 3月 05日(土曜日) 12:20)

 

“地域コミュニティの核となる担い手”を育成する初の試み


高槻市街地の商店街と市民をつなぎ、活性化の推進力となる「現地マネージャー」を!


takatsuki-rpt1厳しい経営環境や後継者問題など、さまざまな難問を抱えながら活性化のために努力を続ける商店街。せっかく事業プランやイベント、販促のアイデアを考え出しても、それを具体化し実践していく推進力がなければ、絵に描いた餅に終わってしまいます。
商店街や地域住民の願いをカタチにしてまとめあげ、真に求められる商店街モデルを描きながら、継続的にまちづくりを推進していく力ある人材が全国各地で求められています。「現地マネージャー育成事業」は、地域ごとのニーズに対応し課題を解決できる、実践ノウハウを身に付けたマネージャー人材、しかも、地域コミュニティの担い手として現地に根付く人材の育成を目的としています。

今回、「現地マネージャーをぜひわが街で育てたい!」と名乗りを上げた大阪府高槻市は、大阪と京都の二大都市の中間に位置する北摂のベッドタウン。大型商業施設が5店舗も出店するなど都市化が進む中、6つの商店街・市場が共存し、にぎわいを見せています。現在、同市ではJR高槻駅と阪急高槻市駅を中心とする地域をまちの中心核として位置づけ、「高槻市中心市街地活性化基本計画」を策定。平成21年12月には国の認定も受けています。
基本計画は、今後5年間で「高槻ならでは」の独自の魅力を創出し、中心市街地内の回遊性を高めることで歩行者数をアップさせ、商業の質を向上させていこうというもの。行政はもとより、地元商店街や市民が一体となって取り組むことが不可欠です。
計画を進める市の都市産業部では、「基本計画を基にまちづくりが動き出し、イベントなどのソフト事業もあちこちで芽生えていますが、それを支援する人材の確保が急務だと思っていました。まちづくりへのいろいろなアイデアに対して、考え方をきちんと説明でき、情報を吸い上げ、うまく連携させてことができる、まとめ役が必要です。フットワークとネットワークを兼ね備えた現地マネージャーが、高槻にぜひほしい!」と期待感も十分。
こうした熱い要望を受け、マネージャー候補として選ばれたのが、廣口靖さん(29)でした。


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人生初体験! 配った名刺は400枚を超えた!

廣口さんは、大学在学中から高槻の名物イベント「高槻JAZZ STREET」にボランティアスタッフとして関わってきました。大学の学園祭の統括やイベントの企画・マネージメントが好きで、コンピューターのSEとして働くようになってからも、ボランティア活動を続けてきました。そんな廣口さんが、2010年9月に周囲からの推薦で現地マネージャー候補に推されたのです。「もともとマネージメントには自信があったので、きちんと研修を受けてノウハウを学び、まちづくりの役に立てればいいなと思ったのが一番。それからSEの仕事をやりながら、自分の中に飲食店経営への興味がわいていたので、現地マネージャーとして大勢の商店主のみなさんと知り合いになって、商店街で商売をするということや商店主目線でのまちづくりについて勉強させてもらいたいという思いも決め手になりました」と廣口さん。
さっそく育成研修が始まりました。指導に当たるのは、まちづくりや商店街の活性化、起業家育成に実績がある、「有限会社協働研究所」(大阪市淀川区)。廣口さんを担当した同社の東朋治さんは、「高槻の市民力というのはスゴイ。ボランティア参加率が高いんです。何かやりたいという人が多い。特にシニア層ですね。しかし、より軽快なフットワークで地域の調整をしていくためには、やはり若い力が必要になってくる。それぞれのイベントは面白く魅力的なのですが、より連動性を高めた方がよいと思われます。そこにつなぎ役として現地マネージャーが存在して、動きを集約してシステム化できれば、今の一つ一つの努力や成果をもっとまちづくりに生かせるはず」と指摘します。
育成研修では、他エリアのマネージャー候補生たちとの合同研修での意見交換や先進事例の視察、実際の手法の個別実習が半年間にわたって繰り返し行われました。高槻では、ちょうど10月に「食の文化祭」をひかえていたことから、廣口さんは事務局員として営業や資金回収、パンフレット作成の手伝いなどにあたり、無事収益も上げることができました。次いで同じく事務局に参加した「アートdeわくわくストリート」では、芸術イベントの難しさに直面しながらもアートを通じたまちづくりの可能性も実感することができました。また、12月には「高槻芥川宿手作り市」「高槻ブランドフォーラム」にも参加、年明け1月には「たかつきスクールJAZZコンテスト」の企画運営も。「とにかくいろんな人に会って、話を聞いて回りました。配った名刺が400枚を超えたのも人生初体験です」と廣口さん。まちの人たちにも、その存在を認識してもらえるようになり、「こんなイベントをやりたいんだが、話をつなげてもらえないか」といった相談も寄せられるようになりました。「せっかくまちづくりに関わったのだから、もう少しスキルを磨いて、どれとどれを結べばうまく成功するのか、明確にアドバイスできるようになりたい。いかにより多くの収益を生み出していくかが今後の一番の課題」といいます。

 

現地マネージャーに対する期待の声を紹介

協働研究所 東朋治さん
takatsuki-rpt3「まちの人たちが企画したものを後押しするのが現地マネージャー。
あくまでも黒子に徹しながら、地域に飛び込んで、調整したり、根回しできる人でなければなりません。素晴らしい補助金の制度があっても使いこなす現地の人がいなければ意味がないでしょう。高槻には廣口さんのような地域全体の事務局の存在が必要です。今まで1ボランティアだったのが、中心的存在へと成長してきていると感じています」

 


たかつき中通り本通り商店街振興会会長 中川修一さん
takatsuki-rpt4「高槻は大阪・京都に近いという利便性と自然や水辺などの観光資源もあって、人々にある意味選ばれる街だと思います。しかし、有益な情報やまちの魅力が浸透していないのも事実。これまで廣口さんは、よく研究してくれているなあと感心してみていましたが、まちの歴史やバックグラウンドまでも理解していくと、本当のまちづくりに生かせると思うんです。廣口さんには、いろんなイベントに関わりながら、地元の人たちが気づかないような高槻の魅力を掘り起こしていってもらいたい。そして市民の側に立ったまちづくりを進めていってほしいと願っています」

 

 


芥川通り商店街 「マウンテン」店主・西田竜一さん
takatsuki-rpt5「雑貨などの手作り作品を展示・販売する芥川宿手作り市を開催していますが、アート関連のイベント経験のある廣口さんが、手伝いを申し出てくれたことで広がりが出た気がします。商店街の活性化には個店が元気になることが大事です。そのためには情報を共有したり、他店といい意味で競合していくことも必要なはずなのに、そういう発想自体が商店街にないのが現実で、第三者の立場で客観的に言ってもらえるひとことがいい刺激になります。手作り市のノウハウも要望があればいくらでも提供しますので、廣口さんにはマネージメントをしてもらい、ぜひ波動を起こしていってほしいですね」

最終更新 (2011年 9月 28日(水曜日) 13:38)

 
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