「取り組み事例から学ぶ未来志向型商店街」 テーマ研修セミナーが開催されました
子育てにやさしい いわきの商店街づくりを
豊かな自然環境と温暖な気候風土に恵まれた、人口34万3000人余りの福島県いわき市。駅前には、平成19年10月に誕生した地上8階、地下2階建ての再開発ビル「LATOV(ラトブ)」が圧倒的な存在感を示しています。

平成23年2月7日、LATOV 6階にあるいわき産業創造館の会議室で、全国商店街支援センター主催の、「取組事例から学ぶ『未来志向型商店街』研修セミナー」の模様をご報告します。
「未来志向型商店街 」テーマ別研修セミナーの目的
現在、全国各地の商店街は、空き店舗の増加や後継者不足、来街者の減少といった厳しい状況に直面しています。これを打開するために「全国商店街支援センター」は、経済主体に加え、地域コミュニティづくりの担い手として、取り組んでいる『未来志向型商店街』を全国から選抜。モデルとなる先進的な商店街の事例を、テーマ別に学ぶために研修を通して紹介してきました。
テーマは、①「環境にやさしい商店街(エコ、環境)」、②「地域にやさしい商店街(地域連携、業種連携)」、③「人にやさしい商店街(子育て、高齢者対応)」、④「集い、楽しい商店街(文化、資源の活用)」の4つ。
いわき市は、「人にやさしい商店街」事例・10カ所のうちのひとつに選ばれました。
いわき市における商店街活性化への取り組み
セミナーではまず、取り組み事例「人にやさしい商店街」10カ所について報告。さらに、商店街活性化のコンサルタントとして、全国の商店街を元気づけている岩切淳子さんが、モデル化事業の報告を行い、次に、いわき市の取り組みが紹介されました。熱く事例を紹介したのは、事業実行委員会委員長の「ネーブルシティかしま」庄司秀夫さんです。
きっかけは、平成19年度。福島県が子育てしやすい環境づくりを県内全体で推進するために、市や企業と連携して「子育て応援パスポート(ファミたんカード)」事業を実施したことにさかのぼります。このカードを18歳未満の子どもがいる家庭に交付し、提示を受けた協賛店がいろいろなサービスや特典を提供するというものです。
ところが、いわき市では当初、「ファミたんカード」の協賛店が少なかったそうです。このことが、さらなる子育てにやさしい商店街をめざす取り組み開始のきっかけになりました。

子育て応援パスポート「ファミたんカード」
平成20年1月、市内の商店会のひとつ「ネーブルシティかしま」の庄司会長を中心に、いわき市内全域の商店会などが連携し、「子育てにやさしい いわきの商店街づくり事業実行委員会」が設立されました。「ネーブルシティかしま」は、商店会という枠にとらわれず、病院、幼稚園、銀行など、さまざまな企業団体からなる組織。事業実行委員会のメンバーも、商店会連合会のほか、商工会や商工会議所、市の保健福祉部や商工観光部などで構成されました。
そして、「子育てにやさしい いわきの商店街づくり」宣言を実施。地域の子育て世帯を応援し、安心して子どもを生み、育てられる社会の実現に向けて、地域コミュニティづくりの一翼を担うことになったのです。当初協賛店は170店でしたが、20年度中に740店と急増。2,430世帯が「ファミたんカード」の利用者となりました。協賛店の一例を紹介すると、例えばレストランでは、ランチ100円引き、歯科医院なら歯ブラシプレゼントなどのサービスが受けられます。
さまざまな事業で子育てを支援
その一方で、カード利用者へのサービスばかりでなく、職場体験などといった、さまざまな子育て支援サービスも実施しています。
当初、実行委員会は、子どもの食育という観点から、親子料理教室を開催。さらに21年度には、職場体験「こども店長」事業を実施することにしたのです。「参考にしたのは、東京都江東区にある『ららぽーと豊洲』のキッザニアです。見学したら、子どもとその家族でいっぱい。子ども本位の環境になっていて、体験学習が熱心に行われていました。いわきに帰ったら、本物の店で実践することができると、直感したのです」と庄司さん。
さらに期待される成果
今回の取り組みについて、事業実行委員会のメンバーからは…
○ファミたんカード事業などの取り組みを通して、各商店とお客さまとの間に会話が生まれ、子育ての悩み相談も受けるようになるなど、絆が深まりました。
○子育て支援は売上増に直接的な効果をもたらすものではないものの、事業への参加者の間に社会貢献に対して意識が高まったようです。
○いわき市は、14市町村が合併してできたため、いままで市内すべての商店街間で連携する動きはなかったようです。それが、実行委員会が主体的に活動することで連携体制が築け、まちづくりにおいても協力して取り組む気運が芽生えました。
・・・といった意見が寄せられています。
講師を務めた岩切淳子さんは、「商店街は、物を買うだけの場所という割り切り方はできないはずです。商店街の街路灯ひとつ消えても、そこに住む人たちは困るわけですから。相手に喜んでもらうのが商売の原点。人と人、心と心を通わすことができるのが商店街だと思います」と感想を述べられました。
子育てにやさしい商店街の実現には、まだまだ課題はありますが、今後の取り組みに注目していきたいものです。


