地域商店街活性化法の認定を受けた「小千谷市東大通商店街振興組合」で 地域住民が待ち望んだ“惣菜ショップ”がオープン!
「東には何もなくなってしまった…」。まちを襲った2度の震災を乗り越えて
新潟県中越地方に位置する小千谷市は、米どころで有名な北魚沼地域 の行政の中心として発展。小千谷縮(ちぢみ)や小千谷紬(つむぎ)の繊維業がよく知られていますが、実は大手電機メーカーの半導体製造拠 点がある工業のまちでもあるのです。 平成16年10月、このまちを大きな震災が襲いました。新潟県中越 地方を震源としたマグニチュード6.8の「新潟県中越大地震」です。さらに平成19年7月には、再びマグニチュード6.8の「新潟県中越沖地 震」が発生。特に小千谷駅前の東大通商店街の被害は大きく、中には閉店に追い込まれる店もありました。「東には何もなくなってしまった」 とささやかれるほどで、店の売上げが半分以下に減る店もありました。
人口約6700人の東小千谷地区にある「小千谷市東大通商店街振興組合」(高野直人理事長)は、JR小千谷駅前から延びる350mの商店街です。昭和40年にアーケードの設置を機に法人化。「一時は150店ほどの店が建ち並び、左右の通りを埋めるほどの人通りがありましたが、現在は空き店舗も目立ち、組合員数も74名に減りました」と話すのは、理事長の高野直人さん。2度の震災に見舞われ、周辺道路や大型店開発などの環境変化や駅乗降客数の減少、経営者の高齢化といった問題をかかえ、将来への危機感は強まる一方でした。「震災の後、周りの地域の人たちから東には何もなくなったと言われたのがショックで、何とかこのまちを活性化させたいと考えるようになりました」と当時を振り返ります。
「地域商店街活性化法」の認定を受け、活性化事業がスタート
商店街と地域住民とが協働でまちづくりを推進
平成19年の震災後、住民団体「東小千谷夢あふれるまちづくり活性化協議会」(以下、東夢協)が設立されました。東夢協は、商店街と地域が協働でまちづくりを進めるための議論を行う場。同年6月には、さっそく地区の全世帯を対象にしたアンケート調査を実施して、地域の人たちが何を必要としているのかニーズを明確にしました。アンケートでは、平成16年の震災で東小千谷地区の商業の核であった地元スーパーが倒壊・閉鎖となったことから、住民側も食品スーパーや惣菜の店、農産物の直売所の設置を強く望んでおり、合わせてコミュニティや交流のスペースを求めていることがわかりました。
こうしたニーズを踏まえ、平成21年には同協議会内に①食品委員会、②拠り所委員会、③住民の足委員会、④元気推進委員会の4つの委員会を設置し、具体的な中・長期計画の検討を開始しました。
平成22年6月には、東大通り商店街が経済産業省から「地域商店街活性化法」の認定を受け、農産物直売所、惣菜ショップ及びたまり場、高齢者楽々サービス事業、のそれぞれの運営を行うため、補助金などの支援を受けることにも成功しました(事業実施期間は平成22年8月~平成25年3月)。
さらには、認定後のフォローアップとして、平成22年7月には、全国商店街支援センターの「支援パートナー派遣事業」の支援決定を受けました。この事業は、活性化を目指す商店街を支援するため、商店街に“支援パートナー”を派遣し、認定を受けた取り組みを支援していくのが狙い。小千谷市東大通商店街振興組合の支援パートナーに選ばれたのは、中小企業診断士で、東夢協のコンサルタントとしてプランの策定やアドバイスを続けて来た小松俊樹さんです。
「こうした活性化の事業を行っていく上で大切なのは、商店街だけで議論するのではなく、地域住民や団体を巻き込んだ組織を作って綿密に話し合っていくことなんです。商店街は商店街、住民は住民というように別々のものとして考えるのではなく、商店街が活性化の要となって、住民の人たちも積極的に関わり合いながら、協働でまちづくりを行っていくことが重要。東大通商店街がここまでうまくやってくることができたのは、すごいことだと思います」と小松さん。「一人一人が地域の代表なのだと自覚できるかどうかが重要なポイント」だと語ります。

平成22年8月に農産物直売所が、12月に惣菜ショップ&たまり場がオープン
「お年寄りが食に不自由しないように、寂しい思いをしないようにしてあげたい」
平成22年8月、空き店舗を活用した「農産物直売所」がオープン。地元農家と連携して新鮮な地場野菜を販売しており、気さくな女性店主とのおしゃべりも楽しい店です。経営責任は商店街振興組合が負っています。
また、同年12月には、住民待望の惣菜ショップ「駅前おかずやさん」がオープンしました。同じく空き店舗を活用したもので、店舗・調理室・事務所を合わせた広さは177㎡。 ここでは約30種類の総菜を販売しています。一人住まいの高齢者など単独身者や忙しい主婦に、手作りの家庭の味を提供することで、食に対する利便性を確保するのが目的です。 食材の野菜は「農産物直売所」から調達。「地元ならではの味付けがウリ!」「心をこめた安心・安全がウリ!」「その場で揚げるがウリ!」「東大通商店街振興組合責任運営」がモットーで、店頭販売だけでなく宅配も将来的に実施し、高齢者のニーズにも応えていきます。メニューは、レンコンのきんぴら100円、アジフライ200円、エビの天ぷら120円、サバのみそ煮150円と、どれも手頃な価格のものばかり。1週間のプレオープン期間には、1日平均100人の集客があり、滑り出しは上々でした。すでに常連という女性は、「味が濃くなくて、とてもヘルシー。手作りの家庭の味だから、ちょっと今晩おかずが足りないという時に便利なんです」とPRにひと役。
この惣菜ショップの2階に作ったのが憩いのスペース「たまり場」です。家に閉じこもりがちな高齢者の拠り所として、また大人から子どもまでが気軽に集える多目的のコミュニティスペースとして利用できます。もともと旅館だった建物の広間(72㎡)を活用したものですが、「将来的には子どもたちの寺子屋的な学びの場や託児所としての活用も検討していく予定。お年寄りが食に不自由しないように、そして一人で寂しい思いをしないようにしてあげたい。そういうまちづくりをしていきたい」と高野理事長。
「惣菜の店は、今後メニューに中華を加えたり、調理室の設備を充実していきたいと思っています。店内の段差もお年寄りがころばないように解消しなければなりません。補助金があると思うとつい甘える気持ちが出てくるので、協議会の仲間たちには補助金を当てにするなと言っているんです。今は、ようやく飛行場ができた段階です。飛行機は自分たちで飛ばしていかなければなりません。しかも、飛ばし続けることが求められる。とにかくここまで来たら回れ右はできないのだから、腹をくくってやるしかありません」と意気込みを語ってくださいました。


