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全国各地の商店街活性化の事例から、「商店街活性化のヒント」になるノウハウをご紹介します! 商店街支援ノウハウ

事例① まちあそび人生ゲーム

平田本町商店街振興組合 理事長 平野 裕二氏
(神門通りおもてなし協同組合 販売促進委員長 ・ NPO法人 出雲まちあそび研究所 理事長)


 

島根県の出雲市から参りました平野でございます。私はこれまで呉服屋からギフト店、そして今は、出雲大社前の店で「縁結び箸」を毎月1日に出雲大社へも奉納をさせていただきながら商売をしております。

さて、私の住んでおりますのは、もともとは、平田市というところで、10年前に出雲市に吸収合併され出雲市平田町になりました。人口3万人ほどの小さな町で、私はそこで商店街活動をしております。また、出雲大社前の神門通りという商店街と併せてこれまでに6回ほど「人生ゲーム」を実際にやっております。

私が最初に「人生ゲーム」をやってみたいと思ったのは一昨年の春のことです。ある日、出雲市の職員がやってきて、「仲間と、昔やった『人生ゲーム』をまちの中でやってみたらどうだろうと思いついたものの、なかなかそれを取り入れてくれる商店街がないんです」と相談されました。それで、私と市の職員とデザイナーの3人が中心になって、「人生ゲーム」に取り組むことになったんです。平田のまちには、230年前から伝わる「一式飾り」というものがあり、「人生ゲーム」をやるにあたり、この「一式飾り」を知ってもらうことにもつなげたいと思いました。つまり単に「人生ゲーム」をやることが目的ではなくて、その「人生ゲーム」をまちおこしにつなげたいと思ったんです。

平日はほとんど人が歩いていないようなまちで、私は25年間商店街活動に携わってまいりました。イベントをやると、人は会場には来るけれど、商店街は歩かない、個店の中には入らない。そのうちイベント疲れをしてしまい、「商店街はもう何をやってもダメなんだ」と、自分の中で諦めていました。そんな時に「人生ゲーム」に出会い、取り組みました。そうしたら、たくさんの人に集まっていただき、先日の第4回目では、諦めていた私のまちに、スタート時に50メートルもの行列ができたのです。

「人生ゲーム」というのは昭和45年から作られているボードゲームで、高校生以上であれば、8割くらいの方がこのゲームを体験しています。私たち3人は、このゲームを商店街に取り入れるにあたり、お店にはそのお店の「強み」を認識してもらい、参加者には地域の個店や経営者やお店の方たちの魅力を知っていただきたいと考えました。

この「人生ゲーム」をどう商店街で行っているかというと、最初に参加者に「職業カード」というものを引いてもらいます。例えばパイロットとか、弁護士とか、学校の先生とか、約200種類の職業カードがあって、職業で給料が決まります。その給料袋とマップを持って、まちの中に出ていくのです。例えばスタート地点でルーレットを回して、3が出たら3軒目に行き、そこでまたルーレットを回して、次に5が出れば5軒目に行く、という要領で店を次々訪問していきます。各店には全部ストーリーが作ってありまして、例えば私の店ですと、縁結び箸の店ですから、「ひらの屋さんに行って、『彼女ができますように』と願い縁結び箸を買う」とか。その支払う通貨の単位も、出雲大社前でやる場合は、縁結びですから「縁(えにし)」という通貨で、平田の場合は一式飾りですから、単位は「飾り」となるわけです。その通貨をやり取りしながら、商店街を歩いて行って、最後に貯めた額を競い、順位を決めていきます。

平田本町の第1回目は、「天満宮祭」というお祭りの時に実施し、2日間で123チーム406名の方にご参加いただきました。第2回目は1日だけの開催でしたが、112チーム309名の方が参加されました。第3回目は地元の私鉄と一緒に電車賃を割引して、沿線の施設も含めてイベントをやったところ、411チーム1,650人もの方にご参加いただきました。先日もまた同じ電鉄とタイアップしてやったのですが、今度もまた参加者が増えました。

出雲大社の場合は、お客さんが来ない時期にやろうということで、今年の1月24日、25日に初めて開催しました。閑散期対策として最初に関係者にこの話をした時には、「別にやらなくてもいいよ」などと言われたのですが、実際に行ったところ皆さん手のひらを返したみたいに、「良かった!良かった。あのイベントはすごくいい!」「もう一回やろうよ!」となり、それで再び9月12、13日にも開催し、大いににぎわいました。出雲大社の場合は、ターゲットは観光客ではなく地元の人です。イベント終了後に100%近い人にアンケートを書いていただきましたが、結果を見ると、地元の方が8割くらいで、それ以外の方が2割くらいでした。また、去年は、「にぎわい補助金」を活用してアルバイトを雇いましたが、今年は市内の高校の方にお願いしました。すると、断らなくてはいけないほどたくさんの高校生に集まっていただきました。私(平田本町)の商店街店舗数は20くらいしかありません。ところが、見本のマップを見てもらいますと31ヶ所マスがあります。実は、高校生や、地元の看護学校の生徒さんに臨時でチャレンジ店舗として出てもらっているのです。この看護専門学校のマス(店舗)では、脈拍とか血圧とか、基礎体力測定などをやっています。この専門学校の先生からは、「これは絶対役に立つので、全国80程ある系列校に、その地域で『人生ゲーム』が開催される時は参加を勧めます」と言っていただいたくらい喜んでいただけました。

アンケートの結果ですが、毎回95%前後の方が『楽しかった』と回答しています。参加された方がとにかく圧倒的に楽しいと言われるのが、この「人生ゲーム」なのです。人は自分が楽しいこと、いいことがあると人に喋りたくなるもので、それが広まって、より広範囲のところから参加者が集まるようになりました。家族、特に30~40代の人が小学生くらいのお子さんを連れて来られる方が圧倒的に多いです。イベントを知ったきっかけも、第1回目の時は、にぎわい補助金を活用して広範囲に撒いた『折込チラシで』を見て参加された方が圧倒的に多かったのですが、第2回目は、平田町内(旧市内)の小学校、幼稚園でチラシを配った結果、『小学校のチラシ配布で』という回答が圧倒的に増えました。第3回目につきましては、私鉄とタイアップした関係でさらに広範囲のところからの参加が増えたというわけです。

では参加者が、お店で買い物をしたかどうかというと、第1回目の時、『買い物しなかった』という方が圧倒的に多かったのですが、第2回目には『買い物した』という方が増えております。第1回目に来て『楽しかった』という方は、第2回目の時には、どんなお店があるかを分かっていますから、一度入ったお店には入りやすくなるのかと。これは「まちゼミ」「100円商店街」とも共通しているところだと思います。店の中に入って、店の方と親しくなるというところは共通しています。第3回目では最後にゴールした後で、通貨を当日しか使えない商品券に換金したことで、買い物の促進になりました。

『来店された店舗にまた来たいと』という回答も多くありました。お店に入られて、その店の方と親しくなって、素朴さとか温かさとか、そういったものが感じられたと、アンケート最後の自由意見にたくさん書かれていました。

そして何よりもお店の方の商売に対する考え方が変わるのです。このゲームに参加するお店の方達に、私が必ず毎回申し上げることがあります。「人生ゲーム」をすれば、とにかくたくさんの方達がお店に訪れますが、その来られた方に、いかに買い物してもらうのか、いかに自分のところのファンになってもらうのかはお店の方がどう努力するかによるということです。そうしたら、いろんなお店が、自分のところで工夫を始めました。例えばサービス券を渡すとか、ゲームをするとか、抽選をするとか。他には、試食をしたり、試供品を差し上げるというのもあって。それがきっかけで自分のお店のお客さんになってもらえたというお店もありました。また、普段はあまりお客さんが来ないからと掃除をしていなかったようなところが、一所懸命掃除していたり。経営者としてお客さんを迎えなきゃならないという意識が変わってきたというお店もございました。

他にも、商工会議所の青年部が「一緒に『婚活イベント』をさせて欲しい」と、約50人の男女を集めてチームでゲームに参加するという企画をつくってくれたことがありました。私はその時、受付にいたのですが、参加している独身の方たちがニコニコしていて、「これはいいなぁ」と思っていたら、商工会議所の青年部の人たちが「今まで何回やっても成立しなかったのに、今回は3組も成立しました」と大変嬉しそうに言ってくれました。約5万人の会員がいる結婚相談システム大手の上場会社も出雲大社前の商店街での第1回目の時に参加してくれました。今後もそのような婚活イベントにご協力できるのではないかと思います。

教育委員会の方からも、「このゲームは子どもたちの情操教育としても、体験学習としても非常に良いので支援したい」とご後援いただいています。子どもたちにとっても、実際に給料袋を持って、自分でお金のやり取りをすることは良い経験ということで、2回目3回目になると、親御さんが子どもさんに積極的に給料袋を持たせてゲームをするようになってきました。


 さて、私ども「NPO法人出雲まちあそび研究所」は、皆さんがこれから「人生ゲーム」をする時に、ノウハウのご提供等、全国の商店街で行われる「人生ゲーム」の情報を発信していく予定です。自分たちのまちでは何が一番ウリなのか、何を使って地域活性化をしたいのかを考えてもらい、それぞれの地域の特性を活かした「人生ゲーム」をやっていただきたいです。ゲームはメーカー(タカラトミー)の登録商標ですが、まちのなかで行う「リアル人生ゲーム」につきましては、私どもNPO法人が委託を受けた窓口となり、登録やマップの制作ができるようにしていく予定です。

「商店街というものはもうダメなんだ」と以前私は諦めていた部分がありました。しかし今では全く考え方が変わりましたし、商店街の各店の方たちも変わりました。お客さんが一番楽しみにしてくれて、「次はいつですか?」と聞いてくれたり、「私の会社では、職場でチームをつくりました」、「職場でも通貨をつくって競争しようと考えています」とか、そういったお話もあります。地域ぐるみで楽しんでいただくことが、きっと地域活性化につながるのではないかと考えております。もしお役に立てそうでしたら、私ども「NPO法人出雲まちあそび研究所」の方でご協力させていただきますので、ぜひご連絡いただければと思います。

ご清聴、ありがとうございました。

*事例発表資料

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