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全国各地の商店街活性化の事例から、「商店街活性化のヒント」になるノウハウをご紹介します! 商店街支援ノウハウ

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「商店街フォーラム」 商店街ツアー

新潟市 上古町商店街
期日 2013年2月28日(木) 10:15~12:30
場所 新潟県新潟市上古町商店街
岡山市 表町商店街
期日 2013年3月8日(金) 10:15~12:30
場所 岡山県岡山市表町商店街(栄町商店街)

新潟、岡山各会場でのフォーラム実施後、2月28日に新潟市上古町(かみふるまち)商店街で、また、3月8日には岡山市表町商店街の栄町商店街で商店街ツアーが行われた。

商店街ツアー [新潟]

新潟市上古町(かみふるまち)商店街は2012年、後継者育成の一環として全国商店街支援センターの「繁盛店づくり実践プログラム事業」の研修を受講し、お店の魅力づくりに取り組んだ。

商店街ツアーでは、晴天の下、大勢の参加者が各店舗をめぐり実践振りをつぶさに見聞きした。店舗ごとにアテンドスタッフが付き、繁盛実践パートナーの並山武司氏や、支援センターの野田チーフマネージャーらがファシリテーターとして加わることで参加者の理解はより深いものになった。

店舗の工夫見て歩記 買い手の目線・売り手の意識

白山神社の鳥居を望むアーケードの両側に店舗が並び、古くから新潟の中心地だったという上古町の歴史が窺える。その一角、妙覚寺が上古町商店街ツアーの集合場所だ。多くの参加者がオリエンテーションを受け、A、B、Cのグループごとにアテンドスタッフに伴われて街へ出ていく。新潟市上古町商店街振興組合の酒井専務理事が同行したAグループのツアーの模様を紹介する。

■考古堂書店

大勢の参加者がアーケードの外観や店舗内を見学する

創業100年、医学書専門店で出版も行っている。柳本和孝(やぎもと・かずたか)社長によれば、同店は近くの新潟大学医学部を中心に医師、看護師などが顧客の大半を占めていて「置いておけば本は売れた」。しかし、売上の落ち込みを受けて改善に着手。入口近くにペーパークラフトの人体模型(4,000円)を置いて医学書専門店であることを強調する。本の細分類をする。「1週間だけの出会いの場」として一般書コーナーを設ける。種類ごとに本を並べ直すなど、「今までのやり方」を変え、「顧客の目線」で自店を捉え直してみた。「以前はレジの女性だけがお客様目線だったのですが(笑)、今は全員の意識が変わりました」と柳本氏は語る。

■金巻屋

和菓子の老舗(創業142年)。四代目店主の金巻栄作さんによれば、門前町の和菓子屋ということで28年前に改装し外観を和の雰囲気でまとめた。最近は人の流れも変わり若い人も増えたので、「米万代(米粉と餅粉を使ってもっちりとした食感、ひと口サイズのヨモギもち)」などの伝統的な和菓子に加えて、「茶屋ド(茶屋のドーナッツ)」や「かみふるぽっぽ」のような和洋風のものも製造・販売している。ちなみに、「かみふるぽっぽ」は新潟の名物「ぽっぽ焼き」をベースにして、きな粉とサツマイモの中にクリームを入れたもので、hickory03travelersとのコラボ品である。こうした商品のディスプレイやポスターなどのPOPが外からもよく見えるように配慮するほか、「売り筋商品」は店舗の前に置くようにした。

■hickory03travelers

ゾーニング、POPをわかりやすくとのアドバイスが効いた

築80年の木造二階建て住宅(元酒屋)を店舗に生かして、代表の迫一成さんや小出慎吾さんらがデザインしたオリジナルTシャツなど、さまざまな商品を制作・販売している。「繁盛店づくり実践プログラム事業」の研修受講後に、オリジナル・みやげ・ギフトなどゾーンごとに商品を配置する、POPを見やすく変える、黒板に季節のオススメを書く、季節のイベントに応じてフェアを開催するといった改善を実施した。

繁盛実践パートナーの並山氏は、新潟市のショップデザイン賞を総なめにした迫氏らのオリジナル商品の質の高さと、福祉作業所とコラボでリネンパッケージを開発したり、おむつ替えスペースを自店のトイレに設けたりと、社会に貢献する姿勢を評価した。

■hana *kiku

ハーブティーとアロマを扱う店だが、初めは「何の店だかわかりにくいし、入りにくい」という声が多く聞かれた。そこで、研修受講後、移動式の立看板の位置を移動することから始めた。下手(しもて)から白山神社のある上手(かみて)へと歩いてくる人の目線を意識したのだ。壁のボードについても、2階にあるアロマテラピースクールのお知らせしか書いていなかったが、今月のオススメを書き加えるなどして変化を出した。

また、入口前面にあったアロマのパッケージをやや奥まったコーナーに置きかえて専門性を抑えて入りやすくする、ハーブティーのお試しパックを用意し、気にいってもらえたら大袋で買ってもらうといった工夫をした。

■カミフル・サイクルステーション

ゾーニングをわかりやすくし、遊び心もくすぐる雰囲気を醸している

上古町商店街振興組合が緊急雇用・空き店舗対策として2010年に出店したサイクルスポーツ用品店で、現在は自主運営に移行している。

オーナーの高橋正良さんを支援センターの野田チーフマネージャーが紹介する。高橋さんは、プロユースコーナー、おもてなしコーナー(佐渡ロングライドなどの話に花が咲くという)、子育て支援電動アシストレンタサイクルコーナー(24時間・500円とおトク)などのゾーニングをする、チェーンを使ったオリジナル商品を開発・販売するなど改善に取り組んだ。さらに、ザンビアの竹製自転車を展示するなど工夫を凝らした。

その結果、「店が広く見える」という声が常連客から上がり、商品の専門性、おもしろさから若い人の来店が増えたという。

■蔵や

着物のリサイクルショップである。オーナーの小竹氏は自ら名刺に「きもの大好きおやじ」と刷り込んでいるほどで、研修受講後、徹底的に着物にこだわった店舗とした。
(1) 着物に関するあらゆる相談を受ける(防寒対策など)
(2) 着物を自由に手にとってさわってもらう
(3) 「きものデビューセット」を用意する
(4) 神社が多い土地柄なので縁起物を扱う
(5) 「とんび(マントの一種)」を気軽に勧める

これから、並山氏の言う「着物の目利き」として、頼る人が増えていきそうだ。

なお、ハーブティーを書店に置いたり、菓子の老舗がデザイナーとコラボで和洋菓子を開発したりと、受講した個店同士のコラボレーションが進んでいるのが印象的だった。

また、同行した酒井氏からは、アーケード改修時、歩道を拡幅し、車道の高さを15センチ上げて歩道との段差をなくしたこと、歩道の敷石ブロックで店舗側は明るめ、車道側は暗めにしたという説明があった。また、照明はメタライズド・セラミック・ライトを照明デザイナーのアドバイスで採用した。「物が自然に見えるライト」で、デパ地下などで使われているという。いずれにしても、きめ細かな配慮である。

「個」への対応と、「価値」が繁盛のカギ

見学後、参加者が妙覚寺に集まりクロージングが行われた。繁盛実践パートナーの並山武司氏が参加者に感想を聞くと、「具体的にレイアウトなどを見られて良かった」「店はまた来たくなる感じがした」「神社が多いなど周辺の状況も含めて視察できておもしろかった」という声が聞かれた。

集客のキーワードを挙げる並山氏

並山氏は6店舗それぞれの取り組みを評価したのち、集客のキーワードとして「季節」「縁起」「限定」を挙げた。さらに、6店舗以外にも繁盛店を増やすカギとして、(1) 「個」対応と、(2) 「価値」を挙げた。(1)は、増加が著しい単身世帯に向けて、1人用の惣菜を販売したり、個人の誕生日に合わせて商品を販売するなど、「個」対応をすることで大型店舗との差別化が図れる。(2)は、価格だけでなく、顧客は「コト」で消費する。「価値ある体験」が個店でできれば購買につながるというものである。参加者は、「繁盛店づくり実践プログラム事業」の研修さながらの講義に聞き入った。

商店街ツアー [岡山]

岡山市表町商店街は、全長1キロにわたる商店街で8つの商店街で構成されている。百貨店の天満屋周辺の人通りが多いが、8商店街の1つ、栄町商店街付近まで来ると、歩行者通行量は減少する。2012年3月平日の旧美健堂前の通行量は南進が1,454人、北進が1,407人となっている。1968年3月平日は、南進9,947人、北進1万1,124人であるから減少が著しい。

また、栄町商店街に壮年層が目立つのに対して、駅前商店街では若年層が多く見られ若年層が駅前地区へ流出していることも窺える。こうした状況を改善しようと、栄町商店街は集客・売上アップのための取り組みを始めた。

商店街の集客努力と個店の改善努力

栄町商店街では、2003年から「空中美術館」としてアーケードに吊るした白布に描かれた絵を展示するほか、中心部に家族連れや高齢者向けの休憩広場「桃たろうポケット」を設けた。栄町商店街の若手が中心になって「表町商人塾(おもてちょうあきんどじゅく)」も開催している。個店も改善を目指して、2010年、全国商店街支援センターの「繁盛店づくり実践プログラム事業」(※2009、2010年事業名 個店経営研修事業)の研修を受講した。

■美しいきもの福岡屋

高級感を演出した店内で着物を勧める売り方に

1924年創業、岡山でも有名な着物の老舗である。元々、高級呉服を扱っていたが、1970年代から一般大衆化へとシフトし、多店舗展開、ネット販売などにより「大量に販売」してきた。ところが、お得意様離れが起こって売上が次第に減少し利益が出なくなった。

そこで、思い切って陳列商品を絞り込んで高級感を演出。客と顔を合わせてコミュニケーションを重視しながら着物を勧めるという売り方に変えた。その結果、客単価はアップし(2012年は客1人あたり90万円)、「着物を広める」「楽しく着物を着てもらう」という本来の自分の役割にも気がついたという。店主の黒田浩一氏はRSKラジオの「いきにいきよう」という番組に毎週出演しており、そこでもキモノコンシェルジュとして着物の良さを伝えている。

毎月の展示会のDMも「季節のお便り」に変え、「美術展の帰りに店舗に寄っていただければ」というスタンスにしたことも好評だった。

「大衆化」から「個を尊重した商い」へ。世の中の変化に対応することを受講する中で学び取り、「福岡屋が一番」と言われるような、老舗本来の姿に回帰しつつあることに参加者は感心した様子だった。

■街の駅 おばあちゃんの台所

地元産の農産物を消費者に届けることで、店舗のコンセプトである「健康で長生きできる食」を広め、商店街を元気にしたいとする直売所である。テレビせとうち株式会社の「おばあちゃんの台所」という番組の趣旨に賛同し放送局の了解を得て店名とした。

元々はJA全農おかやまの直営店だったが、人員不足による「売り逃し」があり、顧客への声がけもなく全体に活気がなかった。また、周辺道路の渋滞や一方通行という制約があって、農家が農産物を持ち込みにくいため全農から集荷する方式を取っていた。この集荷コストが1割から2割かかっていた。そこで、2012年4月から株式会社岡山直売所ネットワークが経営にあたり、元全農職員の竹村仁量氏が代表を務めることになった。

陳列やPOPを工夫して買いやすい店舗に

改善点は次のようなものである。

(1) 農家の持ち込み比率を高めた。
(2) 旬の野菜や果物を入口近くに置いて、オススメ品を買ってもらいやすい陳列にした。
(3) バナナやパインなどの輸入物は扱わないことにした。
(4) POPを工夫した。
(5) 生産者と消費者をつなぐ役割を再認識して商品の産地や特徴について丁寧に説明するなどコミュニケ-ションを取ることに力を注いだ。

この結果、顧客からの要望が増え、商品構成に生かせるようになった。地域の消費者から、そして農家からも望まれるような個店として存在感を発揮しようと取り組みを続けている。

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