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「商店街フォーラム」 分科会A・B

期日 新潟会場 2月27日(水) 16:40~
岡山会場 3月7日(木) 16:40~
場所 新潟 チサンホテル&コンファレンスセンター新潟
岡山 岡山国際交流センター
講師 分科会A 水井ちおり氏 エルベプランナーズ 代表
分科会B 石川香代氏 (株)ビーアップ代表

パネルディスカッションに続いて、「具体的な個店の魅せ方」を伝えるAとB、2つの分科会が開催された。まず、元客室乗務員ならではの「きめ細かな気配り」と「着眼点の鋭さ」を併せ持つ水井氏が担当する分科会A、続いて、ユニークなトークで会場を沸かした石川氏の分科会Bを紹介する。

【分科会A】

思わず入りたくなる、また来たくなる店づくりの方法

講師/水井ちおり氏 エルベプランナーズ 代表

見た目が大事 — おカネをかけず、手をかけて

視覚がもたらすシズル感について説明する水井氏

個店の魅力は品揃え、ディスプレイ、接遇がバランスよく整っていることが大事である。「とくに五感(視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚)の中でも視覚が大事、印象の8割は見た目で決まる」と水井氏は言う。ボリューム感、バランス、カラー…。視覚(ビジュアル)のもたらす重要な感覚が「シズル感」である。ビールのグラスについた水滴がもっともわかりやすい例だ。個店のディスプレイや色使いでも「視覚に訴えること」、「へーっ!」と思わせることが重要であるとして水井氏はモニターに事例を映し出す。

事例1は和菓子店の改装前と改装後の比較である。100円ショップやホームセンターで買った素材で、「できるところから変えていく」のがコツである。「売り筋商品」として大福を選びパッケージデザインを「かわいいもの」に変えた。価格も120円から150円に上げて高級感を出す。

事例2は和紙の店舗である。季節感を重視し、店舗内がよく見えるように改装した。「意識して、きちんと見せること」が大事である。

色・形・並べ方で見え方が変わる

事例3は酒屋さん。奥様の趣味のパッチワークを、毎月、いや月によっては2度(2月なら節分とバレンタイン)も変えてディスプレイし12月のクリスマスまで「続けた」ところ、すぐに効果が表れた。廃業しようかと言っていた店舗を存続できたのである。

「続ける」。そして、「費用をかけずにセンス良く、店舗の一番の売りを見せて購買意欲の向上につなげる」。これが個店で取り入れて欲しいVMD(Visual Merchandizing・ビジュアル・マーチャンダイジング)の第一歩である。VP(ビジュアル・プレゼンテーション)でどんな店かわかる。PP(ポイント・オブ・プレゼンテーション)で重要な商品がわかる。IP(アイテム・プレゼンテーション)で並べ方がわかる。この「売り」を見極めて、「見やすく、選びやすく、手にとれるように心がけている個店は意外に少ない」と水井氏は指摘する。

ある惣菜店では、什器が多くて商品が乏しく見えていた。そこで、造花や調味料などの小物を飾り色と形で見せていく。さらに、商品を中心に集めてボリューム感を出した。このように「演出する感覚」が大事である。演出すると見え方が変わる。「兵隊陳列」といって何でも並べてしまう方法だと何が「売り」か、わからなくなる。敢えてスペースを取って厳選品を示すこともできるし、色使いを明るくして若年の購買層を獲得することも可能だ。

目線に沿って商品の展示角度を変える

並べ方・集め方(ディスプレイ基本構成法)でも店舗の印象は変わる。商品の並べ方は三角形を基本として、左右対称構成(清潔感を表現できる)、不等辺三角形構成(安定感があり立体的)、複合三角形構成(左右非対称、高額商品向け)、放射状構成(ネクタイなど)、リピート構成(商品のカラーバリエーションを見せる場合など)などがある。目線に沿って少しずつ商品の展示角度を変えるといった方法(下図参照 水井氏の話をもとに新たに作成)でも集客率は高まる。

きめ細かい演出によって、高級な物でも買いたいという欲求を引き出すことができる。この購買までの過程を、大手広告代理店・電通ではAISASモデルと言っている。A(Attention 注意)、I(Interest 興味)、S(Search 検索)、A(Action 行動)、S(Share 情報共有)である。目が行く、手に取る、価格などを知ろうとする、買う、商品について話をするといった具合である。

「演出して口コミで広げたい。印象づけたいですよね。代わり映えのしない店舗に停滞感を感じたらディスプレイ、レイアウト、情報、アプローチ、人を変えてみませんか」(水井氏)

参加者のアイデアが湧き出すワークショップ

講義の次はワークショップである。モニターに映し出された写真は…兵隊陳列したホテルのおみやげコーナーの写真だ。水井氏は、このコーナーのディスプレイ変更について、同じ机に座る参加者でブレーンストーミングするよう促す。「地酒や地ワインの売り上げを伸ばしたい。できれば、セールストークも考えて発表してください」という指示に会場内がざわめく。

出題にざわめきが起きる会場

そこかしこで議論が始まる。しばらくすると、新潟県村上市からの参加者が同様のケースで有名な孟宗竹(モウソウチク)をあしらった実例を披露。また、イラスト付きで季節感を出すなど種々のアイデアを出す人もいて会場が沸く。セールストークまでできたグループはなかったが、始めてみるとアイデアは尽きないことがわかる。

水井氏が実際に行ったのは、(1) 商品の厳選、(2) POPの変更、(3) おつまみを添える、(4) 食卓、晩酌イメージをディスプレイにする、(5) 季節感を出すというもの。セールストークの例としては「~というお酒を飲んだことがありますか」「イチ押しのお酒があるのですが」「これをつまみにすると最高ですよ」を挙げる。もっとも接客を好まない若い層もいるので、今後はイメージ戦略が大事になるとつけ加えた。

氏はディスプレイにしても、トークにしても正解としたわけではない。正解は参加者が中心となって、これから現場で生まれていくのだ。

【分科会B】

売れるPOPがわかる!作れる!面白い! 目からうろこのPOP最新テクニック

講師/石川香代氏 (株)ビーアップ代表

ユニークなトークで説明する石川氏

商品の魅力を伝え、集客効果あげるPOP。近年、店頭マーケティングの進化と同時に、POPの役割にも注目が集まっている。この分科会Bでは、POP広告の第一人者である石川香代氏が消費者の心理と行動にマッチしたPOPとキャッチコピーについてプロジェクターを使った「基礎知識」とワークショップによる「テクニック」の両面から豊富な事例をもとに解説。大阪出身の石川氏のユニークなトークに、会場は笑いに包まれ、なごやかに進行した。

誰に見せるかを意識した、集客力を出すためのPOP事例

車で通るお客様から見やすいPOPはどっち?

はじめに道路に面した飲食店での事例を取り上げた。道路沿いに店舗名だけの看板が立っている店に対し、大きく手書きで商品名を書いて、POPを追加した。それだけで集客力がアップ。さらに追加のPOPを作る際に2種類のPOPを提案した。商品1点を紹介するPOPと、商品2点紹介するPOPだ。このふたつをスクリーンに並べ、参加者にどちらが効果的か質問し、「正解は商品1点のPOP。理由は車で通るお客様にとって文字のサイズが大きく見やすいから。“このPOPは誰に見せるのか"を意識して書くことが、お客様に伝わるPOPになります」と解説した。同様の事例として地味な外装の飲食店、大通りからはずれた奥まった住宅街にオープンする小売店の事例を紹介。手書きPOPや看板の集客効果の高さを披露した。

"値段"を下げるのではなく、"価値"を上げることが必要

目の前に、まったく同じブランドの同じ商品で、値段だけが違うものが並んでいる場合、消費者は必ず安い商品を選ぶ。人は「安い」のが好きと割り切らなくてはいけない。安ければ安いほど消費者は嬉しいが、安くても“価値"のない商品は買わない。しかし「安い」とは“値段"が安いだけではない。“値段"が高い商品の“価値"が高いことを知れば、納得して買う消費者がいる。商品を買うとは、その商品の“価値"に対して“値段"が妥当だと感じられるかどうかである。“値段"が「かなり高い」商品は、その“価値"に対して“値段"が「安い」ということだ。だから“価値"ある商品を納得し、安いと思って買ってもらうには、“値段"を下げるのではなく、商品の“価値"をあげることが大切である。商品の持つ特徴や味、品質、魅力などを強調することでその“価値"を伝えて、消費者に安く感じさせ、納得して商品を買ってもらうことがPOPの役割と話した。

購買行動へつなげる「見せる」「伝える」の法則

事例と効果の紹介に続いて、実際のPOP制作のための具体的な表現方法へと話は進む。その一例として消費者の購買心理と行動の法則「AIDCAの法則」にPOP制作を当てはめて解説した。「実際のお店の現場では、POPを作るたびにいちいちAIDCAの法則を思い出すのは大変です。だからこの二段階の法則を覚えてください」として、【見せる】→【伝える】の法則を説明。商品を陳列する際に、いかに「見せる」かを工夫し、その価値を消費者に「伝える」ことで購買行動につなげるというものだ。「売りたい商品があったら見せる力を高め、伝える力を高めることが第一です」。

■見せる力を高める「色の力」

見せる力の要素に「色の力」がある。色相環図や色の数、パターンの大きさ・数などを変えたボードをスクリーンに映して色について解説した。

暖色系の力

色彩には暖色系と寒色系がある。では人を引き付ける力があるのは、どのような色なのか。 「暖色系は実際より前に見える進出性、より大きく見える膨張性があります。POPの配色がちょっとさびしいなと感じたとき、お買い得感を見せたいときは、この暖色系の赤・橙・黄色を使うと見せる力が高まります」。

一色の力

POPを制作する際に陥りやすいのは、何色使えばいいかということだ。「3色でまとめるのが効果的。しかし売り場には多くの商品が並んで色が氾濫し、POPが読みにくいこともあります。その場合は1色のほうが見せる力が発揮されます」。また「POPはアートではありません。なにもないところに飾るものではなく、周囲にさまざまな色があることを意識しましょう」と語った。

面積の力

色が占める割合によって、POPの効果に差が出る。見せる力を高めるためには、ひとつの色の面積を広くすることだ。

色の力のほか、「大きさの力」「数の力」なども紹介した。
大きさの力とは、「人は小さいものより大きいものを見ます。売り込みたい商品のPOPは、ほかより大きくすると見せる力が高まります」 数の力とは、「人は多ければ多いほど見ます。POPや黒板、看板、ノボリは数多く出すと活気が出て、お客様の高揚感を誘い購買へとつながります」

見せる力にはもうひとつ要素「位置の力」

「お客様を引き寄せるPOPを掲出するときの注意点は、POPの位置です」と語る石川氏。お客様とPOPの位置、お客様とPOPの間の障害物(他の陳列ディスプレーや人の混雑など)によって、POPの最適な位置が変わる。商品近くのお客様と離れた場所にいるお客様とでは、見える範囲が違うことを考慮する必要がある。また障害物がある場合は、商品のそばだけではなく高い位置に掲出した大きなPOPに見せる力がある。また低い位置に掲出する場合は、角度をつけることでお客様の正面になり、やはり見せる力が高い。「お客様と同じ目線や行動をして、お客様には何が見えているかなど見直すことで、たくさんの改善ポイントが見えてきます」。

■伝える力

素晴らしいデザインでも伝える力がなければ、POPで売上を上げることはできない。人の心理をふまえ、「わかりやすく・具体的に・自分の言葉で伝えることが大切である。」と解説した。

伝える力を上げるワークショップ!

参加者も実際にPOP文字を書いて練習

パソコンの普及で誰もが簡単にPOPが作れる時代。手書きPOPに苦手意識を持つ人も多いだろう。「手書きPOPは誰でも書けます。センスではなくルールを覚えるだけです」。

そのルールをダイジェストで紹介しながら、参加者も実際にPOP文字を書くワークショップを行った。石川氏が壇上のホワイトボードに手本を見せ、参加者は用意されたサインペンとマス目のある用紙に書いて練習した。主な手書きPOPのルールとして、文字の書き方、単語・文章の書き方、ペンの使い方を体験し、POP文字を練習した。「何でも最初は真似から入るもの。基本の文字を真似するほか、いいなと思ったPOPに対して『私はこんなセンスはない』と思うのではなく、真似できるところから真似していくだけで必ず誰でも書けるようになります」と締めくくった。

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