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全国の魅力的な商店街をつくるための取り組み事例をご紹介します! 商店街活性化事例レポート

対面販売の持つ力、魅力を再認識したプログラム研修~個店経営研修事業(平成22年度実施)など~ 個店活性

商店街名 表町商店街連盟(栄町商店街)
商店街タイプ 広域型
店舗数 41店舗

カラフルな照明が美しい通り

岡山市の表町商店街は8つの商店街から成り、南北に約1キロ、東西に500メートルの規模を持つアーケード型商店街である。そのほぼ中心に位置するのが栄町商店街だ。約130メートルの通りを装うアーケードには、ステンドガラス風のパネルが使用されている。また、別名「桃太郎商店街と言われていて、店舗看板の側面に桃太郎の顔人形が飾られている。また、近くの大雲寺で日限地蔵縁日が開かれる毎月23日には「繁盛市」が行われ、たくさんの露店が出て賑わう。しかし、郊外に大型店舗が進出するなどして、客足が遠のき空き店舗も目立つようになった。

「第24回岡山市商店街等歩行者通行量調査結果報告書」(2012年 岡山市経済局産業課)によると、2012年3月平日の旧美健堂前の通行量は南進が1454人、北進が1407人となっている。2002年3月平日、同地点では北進2445人、南進2457人である。さかのぼって1968年3月平日は、北進1万1124人、南進9947人で、減少が著しいことは明らかである。

また、栄町商店街に壮年層が目立つのに対して、駅前商店街では若年層が多く観られる(岡山政経塾 チーム21 報告)ことから、若年層が駅前地区へ流出していることもうかがえる。こうした状況を改善しようと、栄町商店街は取り組みを始めた。

イベント開催で集客を図るほか商店主向けの講座を開催

栄町商店街では、2003年から「空中美術館」を開催している。アーケードから絵を描いた白布を垂らして歩行者の目を楽しませようというものだ。また、中心部に休憩広場「桃たろうポケット」を設けた。家族連れや高齢者にゆっくり休んでもらおうという配慮だ。この場所が時には音楽ライブの舞台ともなる。

このようにイベント開催などを行う一方、協同組合岡山市栄町商店街専務理事の黒田浩一さんによると、栄町商店街の若手が中心となり「表町商人塾(おもてちょうあきんどじゅく)」も開催しているとのこと。黒田さんたちは「変化についていくには勉強するしかない」と商店主のためにこの塾を設けた。イベント開催はあくまでも経営に付随するものであり、経営力を磨くのが本来の商店主の姿だからである。

個店は改善を経て対面販売の醍醐味、役割を知る

個店も改善を目指して2010年3店舗が、全国商店街支援センターの「繁盛店づくり実践プログラム事業」の研修を受講し改善を行った。店主らの感想は、「対面販売の醍醐味、役割を改めて認識した」というものだった。

雑然とした陳列をやめて高級感を演出した

「美しいきもの 福岡屋」は1924年創業、岡山でも有名な着物の老舗である。元々、高級呉服を扱っていたが、1970年代から一般大衆化へとシフトし、多店舗展開、ネット販売などにより大量に販売してきた。ところが、消費者の志向が変化し、売上が次第に減少して危機感を強めたという。ネット販売では、売上が上がっても利益が出ない。客観的に経営を見直したいとの思いが募り、受講に至った。

研修後は訪問販売とネット販売をやめ、顧客と直接話し、ニーズにあった着物を勧めるようになった。店舗についても、従来のように店頭に商品を雑然と陳列することをやめ、すっきりとさせて高級感を演出する方向へ舵を切った。そのほか、悉皆(しっかい・着物のメンテナンスのこと)のダイレクトメールを制作したり、着物・帯・関連商品をセットとして顧客が選びやすくしたりと、さまざまな工夫をした。こうして、客と顔を合わせて、じっくり着物を勧めることで客単価はアップ(2012年は客1人あたり90万円)し、「着物を広める」「楽しく着物を着てもらう」という本来の自分の役割にも気がついたという。

産地について丁寧に説明できるのも対面販売の良さ

「街の駅 おばあちゃんの台所」は、地元産の農産物を消費者に届けることで、店舗のコンセプトである「健康で長生きできる食」を広め、地産地消を心がけて県内の農業を応援。近隣の顧客を大切にして商店街を元気にしたいという直売所である。

元々はJA全農おかやまの直営店だったが、2012年4月から株式会社岡山直売所ネットワークが経営にあたっている。JA全農時代は、人員不足による「売り逃し」があり、顧客への声かけもなく全体に活気がなかった。

そこで、消費者ニーズに合った店舗を目指し、まずは農家の持ち込み比率を高め、旬の野菜や果物を入口近くに置き、お勧め品を買ってもらいやすい陳列にした。また、POPを工夫し、生産者と消費者をつなぐ役割を再認識してから商品の産地や、特徴について丁寧に説明するなど、コミュニケ-ションを取ることに力を注いだ。その結果、顧客からの要望が増え、商品構成に生かせるようになった。

「三香堂」は、寺院用品、仏壇、仏具を販売する創業100年の老舗で、廉価商品による販売拡大や外販は行わず、店頭販売に徹している。その中で、宗派別の仏事ルール情報の発信、付加価値の高いオリジナル商品の開発、店舗2階への回遊性の確保などにより、店舗のイメージを刷新したかったという。

商品の入れ替えなどでイメージを一新

そこで、毎月入口近くの商品を入れ替えたほか、入口を広げて2階への動線を確保。2階を高級な香を楽しんでもらうスペースにした。2009年には桃香、マスカット香の線香や匂い袋などオリジナル商品も開発した。また、量産品と高級品を分けてディスプレイして並べ方、見せ方を工夫した。

この結果、香の製品群がきっかけで仏壇購入や、新規の顧客の紹介につながるケースが増えている。受講により、店をよくしていこうとプラス思考で意欲的になることができ、店で働く家族ともひとつになれたという。

顧客は個店の「人」に会いにくる

ネット販売をやめた「福岡屋」、対面販売で商品の説明を丁寧にするようになった「おばあちゃんの台所」、プラス思考で販売にあたり、自店に新風を吹き込んだ「三省堂」、3店舗に見られる共通点は「対面販売の強化」である。個店では、商品を買って終わりではない。人から人へ生の情報が伝わることで、顧客は再び店主や従業員のもとへやってくる。そこには、会話があり気遣いがある。陳列や販売ツールのノウハウとともに学んだ個店の役割意識が3店舗には生きている。

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