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全国の魅力的な商店街をつくるための取り組み事例をご紹介します! 商店街活性化事例レポート

手探りで始めた空きビル活用が創業支援のモデルに 空店舗活用 創業促進

商店街名 やながせ倉庫(柳ヶ瀬商店街内)
商店街タイプ 近隣型

やながせ倉庫に入る雑貨店「3anpo*」

岐阜県有数の繁華街・歓楽街として活況を呈した柳ヶ瀬商店街だが、かつての栄光は失われていた。そんな柳ヶ瀬商店街がいま、空きビルを活用したクリエイターの発信基地としてにわかに注目されている。それがカフェ、雑貨店、アトリエなど23店舗が入る複合商業施設「やながせ倉庫」だ。

「創業しやすい」が魅力のやながせ倉庫

やながせ倉庫のオーナー・上田哲司さん。

2005年に設立したやながせ倉庫。その発端は、オーナーの上田哲司さんが祖父からビルを相続したことだったという。当時は、ラーメン店やスナックなどテナントが埋まっていたが、徐々に撤退してしまった。

「ただ持っていても維持費がかかるだけなので、活用方法を模索していました。借りてくれれば誰でもいいというのではおもしろくないので、何かコンセプトを持ってやりたいとは思っていました」(やながせ倉庫オーナー・上田哲司さん)

そんな時、名古屋クリエイターズマーケットを主催する相羽氏から薦められた「クリエイターが集まるテナントビル」をコンセプトにして入居者を募った。テナントを埋めるのが目的で、コンセプト自体にこだわりはなかったと上田さんは話す。

できることは自分たちで。
手作り感が独特の雰囲気を醸し出します。

「最初の入居者は相羽さんに紹介してもらいました。お店を始めたい人のためにハードルを下げてテナント料を格安に設定しました。すると、『多少手入れができて、賃料が安いのがいい』という若きクリエイターたちが集まってきたんです。結果的に創業支援として注目されるようになりました」(上田さん)

企業の初期費用をぐっと抑えられるのがやながせ倉庫の魅力。できることは自分たちでやるとの理念の下、上田さんと入居者たちが一丸となってペンキ塗りなどの改装・改修作業を行なった。これがコミュニティを成熟させるのにもひと役買っている。

可能性を秘めた若手クリエイターをサポートしたい

隔月開催される「小さなクラフト展」。毎回、出店希望が殺到し、数時間で募集が締め切られるという

やながせ倉庫の入居者には、本業を抱え、休日を利用してお店を営む人が多い。オーナーの上田さん自身の本業は会社員だという。当初はテナントを埋めるための副業に過ぎなかったというが、日々若きクリエイターの持つエネルギーや情熱に触れ合う中で、彼らの可能性をもっと伸ばしてあげたいという心境になったという。

「もっと彼らのような人が集まったら、おもしろいことができるのではないか。そう思わせる力強さが彼らにはありました。『20代、30代が集まったら何かが起こるかも?』という考えがいろいろなところに広まってくれたらいいですね」

また、クリエイターに活動の場を提供するために近くの八幡神社で、「小さなクラフト展」という手作り市を隔月で実施、やながせ倉庫よりさらにハードルを低くした取り組みで、創業機会の創出に努めている。

"ゆるさ"を武器に商店街活性化の一助に

上田さんはやながせ倉庫の強みは“ゆるさ”だという。

「振興組合のように地域単位でまとまった組織は全員が同じ方向性を持って動くことはなかなか難しい。しかし、やながせ倉庫は同じ方向性を持ったもの同士が、地域の壁を越えて集まることで大きな力を発揮できるのではないかと思っています」

純粋におもしろさを追求できるのも個人ならではの”ゆるさ”がなせる技。もちろん、大きなプロジェクトなど振興組合にしかできないこともある。大切なのは役割分担をし、相互補完しあうというスタイルが商店街の活性化に結びつくのだと上田さんは付け足した。

やながせ倉庫で起業し、今では商店街にお店を構え地域に根づいた例もある。それが「アラスカ文具店」だ。共同で経営をする今尾真也さん、横山七絵さんらは22歳の時、やながせ倉庫に入り5年ほどお店を営んでいた。

「やながせ倉庫は、テナント料は安いし、人は温かくてとても居心地がよかったのですが、創業したいクリエイターはまだたくさんいますから、いつかは巣立たなければならないと思っていました。やながせ倉庫を通して柳ヶ瀬のまちが大好きになったので、この商店街にお店を出したいと思いました」(アラスカ文具店・横山七絵さん)

こうした事例を筆頭に、やながせ倉庫から商店街全体に活気が伝わりつつあるようだ。

やながせ倉庫出身のアラスカ文具店と店主の一人横山七絵さん

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