facebook page

全国の魅力的な商店街をつくるための取り組み事例をご紹介します! 商店街活性化事例レポート

"障がい者や高齢者にやさしい商店街"への挑戦~商店街活性化モデル創出事業(平成23年度)など~ 地域資源 各種連携 子育て・高齢者支援 人材育成 コミュニティ

商店街名 帯広電信通り商店街振興組合(北海道帯広市)

障がい者の就労を支援するクッキー ハウス「ぶどうの木」の工房

地域のための商店街再生へ  指針と目標を設定

地域のニーズや動向から「障がい者や高齢者にやさしい商店街」を自分たちのあるべき姿として描き、その実現に向かって挑戦を重ねているのが帯広電信通り商店街である。帯広駅から北東約1500メートルに位置し、東西450メートルの長さを誇る商店街。その名前は、1897年に街道が開通し、帯広で初めて電信柱が設置されたことに由来する。

この歴史ある商店街も、中心街や住宅地が周辺市町村に移ったことによる人口減少と高齢化、大型商業施設の進出が重なり、厳しさが増していった。1974年に商店街が法人化された折には73あった店舗も、2010年には32店にまで減少し、商店主たちも危機感を感じていた。

「私は帯広出身ではありませんが、縁あって帯広電信通り商店街で商売していますので、なんとか活性化するために尽力したいと思ったのです」と語るのは、帯広電信通り商店街振興組合の長谷渉理事長。

まず、周辺住民のニーズや動向を把握するためにアンケート調査を行い、直接ヒアリングも行った。その回答から浮かび上がったのは、高齢者が日々の生活サポートを商店街に求めていること、気軽に立ち寄れる飲食店などのニーズが高いことであった。また来街者の5割強が、創業70年の「高橋まんじゅう屋」に立ち寄ることもわかり、スイーツを核に商店街をブランド化するというアイデアのヒントを得た。

また帯広電信通り商店街は、障がい者福祉団体とのつながりが深い。2000年から行っている「花ば咲かせ隊」と名付けた緑化美化運動で、障がい者が育てた花を積極的に活用してきたのも、きっかけは長谷理事長であった。ここでの商店街活性化の活動が、社会福祉法人やNPO法人と連動し、障がい者とまちづくりの共生を進めることになったのも自然な成り行きであった。

2010年4月、商店街の共通の指針・目標を発表した。「お年寄り 障がいのある方と協働・共生する商店街」(指針)と、「福祉・スイーツロードの形成」(目標)である。具体的に挑戦すべきことが見えたことで、さらに改革の意思決定を迅速にするべくまちづくり会社を設立し、取組みを加速していった。

「指針」をすぐさま具現化、 次々と地域の声に応える

「指針」を具体的に形にするための第一歩が、2011年にオープンしたコミュニティショップ「ミナミナ」である。障がい者就労支援施設として、商店街と社会福祉法人が共同で運営し、ランチの提供、喫茶スペースの設置、また地産のゴボウを活かした商店街の特産品「帯広電信通りゴボウ茶」を開発し、その加工・販売を行っている。この「ゴボウ茶」は、健康にはもちろん味も良いと評判で、ヒット商品になっている。

さらに、商店街のアンテナショップとして、「べんぞう商店」を開店。アンテナショップとしてはもちろん、高齢者、障がい者の御用聞き的なサービスを受け持っている。

2011年は、この2店以外に、生活困窮者支援施設「心音」など2店、翌年には、障がいを持つ子供や高齢者の支援・カルチャー施設「ぴあのかふぇ りずむ」、コミュニティ食堂の「惣菜・ごはん屋でんしん」など3店、2014年3月までにさらに2店をオープン。こうして〝障がい者や高齢者にやさしい商店街〞のコンセプトは計9店舗の創業を実現し、結果として空き店舗の解消にもつながった。さらに、ソフト面でも地元の短期大学と連携し、現地調査やワークショップを経て、チャレンジショップ事業を行い、商店街に対する若者の意識と期待を事業に反映させている。

商店街の目標の1つでもある〝スイーツロードの形成〞では、既存の3店に加え、2011年には、障がい者の就労支援を行っている、クッキーの製造・販売「ぶどうの木」、新たな企業誘致として十勝ミートパイ「手のひら」をオープン、それぞれスイーツロードの大きな一角を占めるまでになった。

店舗の開店とともに商店街が身近で便利になり、「安心して生活できるようになった」という高齢者の声も多数寄せられる。さらに、50名の障がい者の雇用創出という面だけでなく、まちづくり会社による、障がい者、高齢者用定住施設の併営も、配慮が行き届いている。結果、地域の定住者を増やし、商店街の利用者を増やすことにもつながっているのだ。

地域の人が集まるコミュニティショップ「ミナミナ」

まちの御用聞き、アンテナショップ「べんぞう商店」

継続させるためには、 "決意"と"覚悟""想い"が大切

どうしてこんなにも次々と挑戦を重ねることができたのだろうか。

「指針・目標が明確なことと、行政含め周りのバックアップがあったこと、高橋専務理事と迅速な意思疎通ができたこと、そして次の人材が育っていることでしょうか」(長谷理事長)。

時代の変化は早い。お客様のニーズを迅速に形にしないと、お客様が離れてしまう。
「すべての事案は、長谷理事長と密に連絡し合い、その場で決定されるんです」(高橋正章専務理事)。

こうして挑戦を続けると、自然と若手がついてくる。先に紹介した店舗も、すべて若手が主体で自主的に運営している。「トップが誰よりも早く行動に移し、決断することが大切です。そうすれば、自然と若手が育ってきますね。実際、商店街の理事にも若い商店主が登用されていますし、まちづくり会社にも4名の若手が出資しています」(長谷理事長)。

最後に商店街が活性化し、それを継続していくためのヒントをうかがった。
「必要なのは、決意と覚悟だけですね。あとは想いを強く持ち、地域のアイデンティティを活かして進めていけば自然と次の課題が見えてくる。それをさらに形にし続けることが大切なのだと思います」(長谷理事長)

長谷渉理事長

高橋正章専務理事

商店街活性化事例レポートの一覧へ