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全国の魅力的な商店街をつくるための取り組み事例をご紹介します! 商店街活性化事例レポート

ビジョンをかたちに。マイクロスーパー誕生! 地域振興 各種連携 空店舗活用

トータルプラン作成支援事業を経て、
実際のアクションに結実した一例がちょうた町商店会。
ビジョンを明確にしたことでアイデアが具体化。
マイクロスーパー開設という成果が花開いた。

商店街名 雲南市商工会(ちょうた町商店会)/島根県雲南市

小さなスーパーが大きな安心を町に生む

昔ながらの建物が並び、のどかな雰囲気が漂う加茂町。一方で先進的な取組みを行う商業地としての歴史も

約90㎡の小さなスペースに、日用品や産直野菜、加工食品に弁当や総菜など約700点が並ぶ。そして開店と同時に近隣の住民が買い物に訪れ、店員と世間話を楽しんでいる。雲南市加茂町にあるマイクロスーパー(小規模商業施設)「かもマート」の日常風景だ。だが、この〝日常〞こそ、長年地域住民が欲っしていたものだ。
JR木次線加茂中駅から半径500m圏内は、10年前に食料品店が閉店して以来、住人は気軽に買い物をすることが難しい状況が続いていた。さらに高齢化が進み、買い物難民の増大に拍車をかける。こうした状況に対し地元のちょうた町商店会や雲南市商工会加茂支部の有志らは活性化会議を開き、打開策としてコミュニティ機能を持ったマイクロスーパー開設のアイデアが取り上げられた。折しも、雲南市商工会加茂支所が機能縮小により空きスペースが生まれる予定だったため、同所での活用を目論んだのだ。しかし、実際にどうかたちにするかは不透明だった。
「正直なところ、メンバーの間でも方向性が共有できているとは言えなかったんです」と当時を振り返るのは、同商工会加茂支部支部長で、ちょうた町商店会の青木隆史さんだ。

そこで、’15年に全国商店街支援センターの「商店街よろず相談アドバイザー派遣事業」を活用(詳細はP . 46)。専門家のアドバイスを受けながらメンバーで議論することで、補助金の活用や組織体制など、実現に向けて意識の共有が図られるようになった。続いて「トータルプラン作成支援事業」に取り組み、まずはビジョンづくりで商店街の理想的な将来像「未来希望図」をつくることで、マイクロスーパーを含めた地域全体の活性化の戦略を設計。さらに実行に向けたプランを検討し、具体策が明確化したことでメンバーのモチベーションが飛躍的に向上した結果、国の「地域・まちなか商業活性化支援事業(補助金)」の活用を決定し、実現に向けた動きは加速した。非営利団体である商工会のスペースでスーパーを開店するには制度的な障壁もあったが、商工会が行政と掛け合いクリアに。同商工会加茂支部の役員14人で出資金と国の補助金を供出し、運営会社の設立や流通の整備など、一致団結して環境を整えた。

岡啓二さん(左)、青木隆史さん(中)、商工会で調整役を務める藤田幸生さん(右)。かもマートを前に

’17年10月、晴れて「かもマート」はオープン。地域にとって待望のスーパー。喜びの声は大きかった。
「やっぱりお客さんが『本当に助かるよ』って喜んでくれているのが、一番うれしいです」と話すのはかもマートの店長である岡啓二さん。現在は一日約80人の来客があり、買い物だけでなく、塾帰りの子どもたちや、近隣の高齢者がコミュニティスペースで談笑するシーンも。
「今後は移動販売などにもチャレンジして運営の安定を図りながら、かもマート2階をレクリエーションに使えるようにして交流機能を強化し、地域のみなさんに愛されるにぎわいの拠点にしていきたい」と展望を語る青木さん。
 立てられたプランのうち、かもマートはまだ第一歩。今後は広場や空き店舗の有効活用にも取り組んでいく予定だ。
 明確なビジョンとそれに続くプランがあるからこそ、点に終わらず線となる。やがてそれが町全体の〝面〞へと波及する日は、そう遠くなさそうだ。



 
         商品棚には地産の日本酒やワインなどの名産品も。地域に地元の味を知ってもらう機会にもなっている。
         利用客には高齢者が多いことからトイレは完全バリアフリーに。地域への想いが見て取れる


【ビジョンを具体的なプランへ!】トータルプラン作成支援事業での成果

’15 ~ 16 年にかけて取り組んだ研修では、商店会、市商工会メンバーの他、市職員、地域住民も参加して熱い議論を重ねた。専門家の豊富な経験や客観的な視点は参加者に多くの気づきを促し、複数回にわたり地域の将来について全員が本気で向き合うことで、実行への意思はより固いものになったという。

 
 

【column】商店街よろず相談アドバイザー派遣事業で意識向上

「商店街よろず相談アドバイザー派遣事業」は、その名の通り商店街のあらゆる相談に対して専門家がアドバイスする、間口の広い支援事業。ちょうた町商店会では、’15年に同事業を受けた。マイクロスーパー「かもマート」の設立にあたって、商業的な妥当性や補助金活用策について検討することが目的だった。講師からも「2階部分を交流拠点として活用し、地域振興につなげる」「補助金申請を視野に入れたスケジュールを設定する」などの助言を受け、実際にそれは後に「トータルプラン作成支援事業」でのビジョン形成や補助金の活用に大いに役立ったという。
また、議論を交わすなかでマイクロスーパーというアイデアにさらなる具体性、現実性が生まれ、意識の面でも効果は大。それが、その後の迅速な取組みにつながったのだ。

 





 
★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2018 Autumn(秋号)に掲載されています。
「EGAO」をご覧になりたい方はこちらへ。
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