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全国の魅力的な商店街をつくるための取り組み事例をご紹介します! 商店街活性化事例レポート

ブランディングに成功した商店街の新たな取組みに注目 地域資源 地域振興 販売促進

コンセプトから商店街をネーミングし、店舗が並ぶ風景にまでイメージの統一を図ることで、ブランド力を高めている「モトスミ・ブレーメン通り商店街」。タブレット端末とICカードを利活用して、組織の強化を進めている。新たな取組みを積極的に展開している好例を紹介する。

商店街名 モトスミ・ブレーメン通り商店街振興組合/神奈川県川崎市

人通りが多い商店街には、グリム童話「ブレーメンの音楽隊」のキャラクターがいたるところに飾られていて、街並み全体に統一感あり。また、イベントでは商店街青年部を中心としたアマチュアバンド「ブレーメンバンド」も活躍!

商店街全体が協力して ブランドを発信

都心からのアクセスも良い元住吉駅は、高い利便性と住み心地の良さで人気だ。モトスミ・ブレーメン通り商店街は全長約550mに加盟店約180店舗が集まる。元々は元住吉西口商店街だったが、1990年のモール化に伴い現名称に変更した。

当時のモール化事業で「中世ヨーロッパのロマンと語らい」をコンセプトに、いくつかの候補の中から「ブレーメン」を選択。年老いた動物たちが力を合わせて居場所を見つけるグリム童話でおなじみの「ブレーメンの音楽隊」のお話から、お年寄りも楽しめる商店街にしたいという想いを込めて名づけられた。翌年には、ドイツ・ブレーメン市にある商店街ロイドパサージュとの友好提携に合意。ロイドパサージュから友好の証として贈られた「ブレーメンの音楽隊」像は、商店街のシンボルとして親しまれている。

友好提携を記念した、商店街オリジナルブランド「ブレーメン・ワイン」や、ドイツのビール純粋令に基づき大麦・ホップ・水・酵母に原料を限定して造られたオリジナルビール、ブレーメンを冠した日本酒も好評だ。また、平塚市の障害者施設・進和学園と提携し濃縮トマトジュースや陶器なども販売。これらオリジナルの食料品や雑貨などを事務局だけでなく店でも扱うことで、積極的に商店街ブランドの普及・PRに努めている。
巧みなブランディングによって個性が磨かれた商店街。その変革の息吹は、日々の暮らしやコミュニティを支える「ポイント制度」にも及ぶ。


従来のシステムから脱却しメリットを拡大

「ICブレカの可能性を広げていきたい」モトスミ・ブレーメン通り商店街振興組合理事長の伊藤博さん

全国各地の商店街は、活性化のため日々奮闘しているが、運用が難しかったり、想定外に費用がかさんだりして、継続できなくなる活動も少なからずあるのは否めない。
「お店、お客様、運営事務局、全てにメリットがあり、しかもトラブルが少ない運用システムを探していた」と語るのは、モトスミ・ブレーメン通り商店街振興組合理事長の伊藤博さん。

商店街は、昭和60年から約20年間、手貼りスタンプの「モトスミ・ドリームチップ」を運用。その中で気づいた点があった。
「満点方式のポイント制は運用がなかなか難しいのではないかということです。満点が500ポイントだと、お客様は499ポイントを持っていたとしてもその価値はゼロと同じ。これだと利用頻度が少なくなり、ポイントを貯めることを忘れられてしまうことも多かったんです」。
 
この課題は、2006年に解決の方向に向かう。リライト式磁気カード「ブレカ」を導入し、満点方式制からポイント制への運用に移行したのだ。大きな変更点は、100円につき1ポイントをお客様に付与し、1ポイントを1円から利用可能にしたこと。いつでもポイントを利用できるようになったことで、お客様側のメリットは大きくなった。
しかし、このシステムでは課題がまだ残っていた。端末の費用、老朽化によるエラー、故障に対する修理費の高さなどが、当時、加盟店舗数の増加を妨げる要因になっていた



 

タブレットとICカード新たなシステムの導入へ

タブレット端末は、見やすさに加え、工夫次第で様々な機能を追加することができる。カードをかざすだけなので、使い勝手もよい

システムの運用からサポートまで、「商店街の頭脳派」ブレーメン通り商店街事務局長の平本保さん

その後、システムは次のステップへと進む。きっかけは、秋田県鹿角(かづの)市の商店街との情報交換。そこで、鹿角市全域を商工会が窓口になり、タブレットPCを利用したICチップ搭載のポイントカードの運用を行っていることを知った。

「タブレット端末は1台約6万円、レシートプリンタが約12万円程度の費用で導入できることを知ったことが、転機になりました」と伊藤さん。端末はICカードをかざす非接触型で、物理的な劣化がないことも大きな利点だ。事務局長の平本保さんを軸にシステム運用の相談をしながら、即座にポイント事業の見直しを進めていった。


   

新システム「ICブレカ」にもポイント制は踏襲された。事務局は加盟店に1ポイントを1.8円で販売し、1.1円で買い上げる。加盟店は、商店街に出回っているお客様が所有するポイントを回収すればするほど自店の利益として還元されるため、来店したお客様にポイント利用を促すように。さらに、ナショナルチェーンもこのシステムに参入、ICブレカの認知度と利用率は大幅にアップした。現在では、95%に及ぶ高い回収率を誇っている。

事務局には1ポイントにつき0.7円が入るが、それは事務局の運営費として商店街の各種事業に充当されている。その一部はタブレット端末の購入費にも当てられ、端末は加盟店へ無償で貸与されている。また、クラウドサーバでポイントを管理し、商店街全体のポイント付与数や、店舗ごと日ごとの付与・回収の動向を把握することも可能に。これにより精算ミスなども起こらなくなり、運用面が大幅に改善した。導入から約2年間のICブレカ発行数は約25000枚(2016年12月現在)に達している。

ICブレカを核とした地域貢献をめざす

コミュニティセンターで1日に1ポイントを日課にしている方も。免許証を返納された方に1000ポイント付与も開始

ICブレカの導入で、新たなサービスが続々と始まった。
タブレット端末にゲーム機能を加えてクーポンを発行したり、お客様の誕生日にはハッピーバースデーのメロディを流したり、ICブレカに娯楽要素を加えることで、商店街での買い物がより楽しめるようなアイデアが実現しつつある。

また、商店街内にあるコミュニティセンターに、75歳以上の方が訪れると1日1ポイントが付与されるように。このサービスが高齢者の外出の動機づけや、地域との交流を促進し、高齢者の孤立防止や安心・安全な地域づくりの一助となっている。

他にも、商店街の高齢化が進む中、組織の弱体化を防ぐための仕組みとして、「オーナー会員制度」も実施。これは店主自身が店をやめ、スペースをテナントにしても、商店街のコミュニティに残ることができるというものだ。ブランディングに、新ポイント制度。その他様々な取組みを融和させ、ブレーメンは、より強く、そして魅力を高めている。

「中世ヨーロッパのロマンと語らい」のコンセプトは、店舗のシャッターにも。ドイツの歴史的建造物などが描かれている

1988年、ドイツ・ブレーメン市のロイドパサージュ(商店街)と提携。頻繁に交流を重ねイベントを開催するなど、20年以上の長きにわたって交流を深めている











★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2017 Spring(春号)に掲載されています。
「EGAO」をご覧になりたい方はこちらへ。
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商店街活性化の情報誌「EGAO」


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