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全国の魅力的な商店街をつくるための取り組み事例をご紹介します! 商店街活性化事例レポート

ターニングポイントを迎え 旦過らしさに新風吹き込む 地域資源 地域振興 各種連携 個店活性

活性化に向けた取組みは、持続的な発展が大切だ。そこで、かつて注目を集めた商店街の取組みが、現在、どう進化を遂げているのかを追跡取材。空き店舗対策、組織づくりに人材育成といったテーマ別にレポートした。

平成27年度 繁盛店づくり支援事業他 活用

商店街名 旦過市場商店街/福岡県北九州市

旦過市場商店街・青年部役員の田中祥隆さん(左)と、同商店街・副会長の森尾和則さん。旗振り役として活躍中

     

味わい深い路地は映画などにも頻繁に登場。

昭和レトロな景観と、120店舗の9割以上が生鮮食品店という特性により、多くの来街者を集める旦過市場商店街。現在、大きなターニングポイントを迎えている。そのテーマを一言で言うならば、受け継がれてきた〝旦過らしさ〞と時代に応じた〝変化〞を、どう融合していくかということだ。

活気ある現状を生んだ立役者の一人である同商店街副会長の森尾和則さんは「ただモノが多いだけではない。多彩で上質かつ安価な商品に、専門性が高い店主たち、そしてその深い知識を惜しげもなくお客さんに伝えるコミュニケーション。来るたびに生活が豊かになるような、地場のための商店街なんです」と旦過らしさについて語る。
そうしたサービス面の魅力を、時代に合わせてさらにブラッシュアップした一例が、’15年に取り組んだ支援センターの「繁盛店づくり支援事業」だ。事業を牽引した同商店街青年部の田中祥隆さんは、「ディスプレイや発信力を強化することで、今あるものの魅力が高まり、手に取ってもらえる機会が増えることに気づきました。実際、事業後に前年比80%増の売上を記録した店など、目に見える成果が生まれました」

同事業の好影響は今も続く。繁盛店づくりに刺激を受けた若手たちは、それぞれが独自に顧客ニーズを分析し、同時多発的にオリジナル商品を開発・販売。生鮮がメインの市場で、テイクアウトできる新名物の誕生は大きな反響を呼んでいる。こうした若手の台頭は、これからの旦過において非常に重要だと、二人は一致して話す。
「繁盛店づくりの会議の場から若手同士のコラボレーションも生まれたり、上の世代の刺激になっています。極力若手の意見を尊重するようになりました。」
そう目を細める森尾さん。最近では、若手から市場歩きを楽しむため、新しい仕掛けづくりの提案もあり、具体化に向けて動き始めている。

 


再整備のチャンスは商店街に活気ある今

若手が次々と出店。新しい風に乗って、旦過市場は次のステージへ

北九州モノレール旦過駅から徒歩すぐ。魚町商店街より小文字通りを隔てた場所にある、大正初期から続く商店街。180mのアーケードに、生鮮を中心とした食品店が密集している。

伝統のサービス力と若い世代の発想が結合しソフト面の充実が図られる一方で、ハード面の強化も進む。市場の動線環境を改善したほか、これまで共同トイレしかなかった市場に女性用トイレを作り、おむつ台も設置。このような取組みも集客向上に結びついている。

その一方で、市場全体が、いま大きな岐路に立たされている。市場の再整備だ。施設の老朽化や防災上の理由から、神嶽川の改修とセットでの建て替えが決定しており、’18年の着工に向け準備が進んでいる。旦過らしさをいかに残して、将来につながる再整備を行うか。「旦過地区まちづくり整備準備委員会」などで議論が続いているが、森尾さんの想いはシンプルだ。


「大切なのは、これまで先達が作り上げ、受け継いできた旦過市場を、次代に最良のカタチで渡すこと。今やらなければ手遅れになる」
田中さんも、「こんな時にこそ、私たちの真価が問われる。カタチが変わっても、歴史とアイデンティティが継承されていれば、旦過市場の価値は失われない。それに、再整備をするなら、商店街にパワーのある今が適していると思います」と、力強く語る。

かくして次の100年を見据える旦過市場商店街。そこで今後必要になるのが「オール小倉の取組み」だと森尾さんは言う。エリアの複数の商店街と大型店などからなる小倉中央商業連合会では、今後の小倉全体のビジョンを策定。さらに、小文字通りを挟んで分かれる魚町商店街とは若手同士による交流が進んでおり、将来的にはふたつの商店街を結ぶジョイントアーケードの建設も検討されている。
変わるものと変わらないもの。その融合が高い次元で果たされる時、また新たな旦過ブランドが見られるはずだ。

 
                                            生鮮食品店が並ぶこのレトロな情景が、どう維持され変化していくのか注目だ。

 
 
★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2017 Autumn(秋号)に掲載されています。
「EGAO」をご覧になりたい方はこちらへ。
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