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全国の魅力的な商店街をつくるための取り組み事例をご紹介します! 商店街活性化事例レポート

商店街を中心に、寺、大学と連携して地域ブランドを創出 地域資源 地域振興 各種連携 販売促進 情報発信 個店活性

築100年を超える建物や地域に張り巡らされた環濠など、歴史と文化が残るこの地に生まれた新ブランドとは。

商店街名 一身田商工振興会/ 三重県津市

「いらっしゃい! どうぞ食べてみてください!」。1月初旬、一身田 の高田本山専修寺(以下、高田本山)では恒例のお七夜報恩講が始まり、多くの参拝者でにぎわっていた。響き渡っていた元気な声の主は、地域内の短期大学の学生たち。そして販売していたのは「一身田印」をつけた新商品だ。多くの参拝者が思わず足を止めた新商品の開発は連携から生まれた。

繁盛店づくりから地域ブランドづくりへ

浄土真宗高田派の本山、専修寺を中心に発展してきた一身田町の個店が集まり組織した「一身田商工振興会」(現在68店舗が加盟)

全国の木造重要文化財の中で5番目に大きい御影堂、寺の水辺に咲き誇る蓮の花、寺とまちの四方の環濠、江戸時代から続く古い街並みなど多くの見どころがある津市一身田町。かつて伊勢参宮道中の名所としてにぎわったが、参拝者の減少や大型店の開業により客足が減る。
 
一身田商工振興会会長・中川隆功さんは「平日は人通りも少なく、参拝者などに勧められる商品も少なかった」と言う。「引き継ぐことなく、閉店する店も……」。そう語る商工振興会・下津浩嗣さんは悔しそうだ。

危機感を募らせたふたりは、'12〜'14年度にかけて全国商店街支援センターの「繁盛店づくり支援事業」を活用し、個店の魅力向上とともに店主同士や地域との連携体制を固めてきた。この取組みは市役所でも一目置かれ、津市商工観光部・片田正樹さんも「いつも自主的に動き、一歩先を行く」と高く評価。
 
次の手を考えていた下津さんは高田短期大学・杉浦礼子教授へ地域活性化で一緒に何かできないか相談を持ちかけた。実はその時、高田本山からも同様の相談を受けていた杉浦教授は両者を結びつけようと考えた。「寺と商工振興会が、同じ目的をもって協働する絶好の機会。さらに地域を理解させるために学生も巻き込もう」。こうして「寺と街と女子」による活性化への挑戦が始まった。

           

「一身田をPRしたい」という想いを共有

美容・ダイエット効果を期待できる蓮茶を羊羹に練り込み、 クッキー生地ではさんだ新感覚の和洋折衷のスイーツ

この挑戦は'15年度の「トライアル実行支援事業」を活用することで具現化した。11月に「一身田印認定協議会」を設立。地域ブランド『一身田印』を立ち上げ、ロゴづくり、新商品の開発を決めた。協議会には商工振興会、大学、寺の他、銀行、自治会や婦人会も参加。市もその動きをサポートしている。
 
トライアル事業の支援パートナー・山本一馬さんも、「これだけ多様なメンバーがかかわるのは珍しい」と驚く。
 
有志6店舗と短期大学の協働で新商品がつくられた。マーケティングを学ぶ高田短期大学の学生と、栄養士をめざす三重短期大学の学生は、包装デザインや商品の開発に挑んだ。個店と学生たちは、11月中旬のテストマーケティングを経て改良を重ね、お七夜で新商品を販売した。

通り過ぎる街から、そぞろ歩きできる街に

今後は高田本山の銘入りの抹茶や蜂蜜を使った新商品を開発する予定だ。また、既存商品でも魅力があれば認定していく。ブランド名を一身田「産」でなく一身田「印」にしたのは、食べ物以外の商品やサービス、体験にまで広げたいからだ。
 
商工振興会の目標は回遊による個店の売上アップ。「高田本山に負けないような魅力ある〝点〞を多数つくり、結ぶことで〝線〞にしたい」と下津さん。
 
高田本山も参拝者増加に向け、動き出している。「寺の一番の目的は教えを広めることですが、まずは来てもらうことが大切です」(広報・藤谷知良さん)。「寺と街と女子」が、今後どのようなブランド力を生み出すのか、益々楽しみである。

    

☆ここに注目☆ 魅力広がる「一身田印」認定商品たち

「蓮の華」◆春乃舎×高田短期大学◆
蓮の花をイメージしたピンク色の求肥で包まれた大福。あんの中に煮物風に味付けしたレンコンが入る。蓮印の焼き印がかわいらしい。

「いもはすちゃん」◆下津醤油×高田短期大学◆
芋あんを“蓮の花床”に、自家製団子を“蓮の実”に見立てた。また、蓮の花をイメージした包装や、オリジナルキャラクター「いもはすちゃん」は学生のアイデア。

「お釈迦様の足跡」◆たけや×高田短期大学◆
レンコンのでんぷん粉を素材に使い、ハスの葉と花を色彩でイメージ。かわいらしい柄や色などパッケージは学生が中心になって決めた。

「蓮ちょこ(れんちょこ)」
◆岡田屋×高田短期大学◆
甘く煮詰めたレンコンと、ヴァローナ社のココアを使い焼き上げたパウンドケーキ。しっとりやわらかな生地とシャキシャキ食感のレンコンの組み合わせが新しい。

「レンこんちゃんとなかまたち」
◆杉甚商店×三重短期大学◆
レンコンパウダーが練り込まれた新食感のこんにゃくスイーツ。仕上げにきな粉をかけていただく、学生がこんにゃくのさまざまな食べ方ガイドを作成。商品に同封した。




























★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2016 Spring(春号)に掲載されています。
「EGAO」をご覧になりたい方はこちらへ。
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商店街活性化の情報誌「EGAO」

 

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