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全国の魅力的な商店街をつくるための取り組み事例をご紹介します! 商店街活性化事例レポート

「一店逸品」をより効果的に お店回りツアーでブラッシュアップ 販売促進 個店活性

一店逸品運動の取組みで知られる青森市新町商店街。その運動をお店回りツアーで活かして、はや12年。「逸品」と「ツアー」の両軸がお互いの質を高めながら、地元住民だけでなく、観光客をも魅了する商店街を取材した。(平成26年度取材記事)

商店街名 青森市新町商店街振興組合

お店回りツアーガイド「逸品レンジャー」たち

一店逸品運動を 活性化の核とする

青森の玄関口、JR青森駅から東に延びる全長約1kmの青森市新町商店街は、かつて青函連絡船の波止場に連なる商店街として、多くの来街客でにぎわっていた。しかし、昭和63年の連絡船の廃止や郊外型大型店の進出により、人通りが急減。商店街は、往時の勢いを失っていく。
この状況に歯止めをかけるため、商店街はまちづくり委員会をたちあげ、来街者確保のための対策を練り、平成5年から、県や市と一体となって、まずは道路整備などのハード事業に取りかかった。

平成15年からは新たにソフト事業も開始。
それが、「一店逸品運動」とその取組みから派生して実施している「しんまち逸品お店回りツアー」である。

一店逸品運動とは、商店街のそれぞれのお店が、お客様に自信をもってオススメできる商品を年ごとに一品選び、その商品を1年かけて積極的に販売する取組みだ。

店主は、自店にどんな商品があるのか、あるいはどんな商品を置きたいのか、お客様が何を求めているのかなど、自らの商売について探究し、そのうえで逸品の候補の商品を選び出す。その候補の商品は、参加店同士がそれぞれ顧客目線で意見を述べ合う「逸品研究会」にかけられて徹底的に吟味された後、最終的に各店主によって「自店の逸品」として決定される。
こうして店主が想いをこめて選定した逸品は、翌年1年をかけてお客様へのオススメとして重点セールスされる。店主は、店頭でお客様の反応を確認しながら、展示方法やPOPなど、販売を促進するための様々なスキルに磨きをかける。

 
 

一店逸品カタログ

伊香佳子理事

逸品は、商品説明や活用提案などを通じて、店員とお客様とのコミュニケーションにとっても重要な役割を果たす。青森市新町商店街では、過去に取り上げて、定番となった逸品の写真と説明も店に掲示。並べて紹介することで、お客様との信頼感や繋がりをさらに深めている。

一店逸品運動実行委員長であり、自らも電器店を営む伊香佳子理事(広報・販促を担当)によれば、この事業に取組んだことで、各店主の自店の商品や、その顧客への伝え方に対する意識が変わり、自らを見直す機会が増え、新しいことにチャレンジしようとする思いも強くなったそうだ。そして何よりお客様の満足している様子を直に感じるようになり、それが店主のやる気を大いに刺激するようにもなった。

店主は、「自店の売り、特色、得意分野、新境地開拓」などについて、常に考え続ける。そして、店主の独りよがりではなく、顧客に受け入れられる、専門店としての、真の存在価値を見いだし、商売人としての実力をつけていく。

この取組みの参加店舗数が増えて、店主たちが、これまで知らなかった多くのお互いの店の想いやこだわりを知るようになり、商店街の存在自体への新たな誇りも生まれた。それが、現在の商店街全体の様々な活動の活性化にも繋がっている。

この一店逸品運動から派生した取組みが、「しんまち逸品お店回りツアー」である。

このツアーは、逸品を置いているいくつかのお店を回り、店主のこだわり、おススメの逸品を見たり味わったりするツアー。「逸品の良さ、個店の良さを、ツアーを通してお客様にしっかりと伝えることによってクチコミ効果が広がり、12年目になりますが、参加者は新規・リピーター双方とも、現在もますます増えて、人気を博しています。」と伊香さん。

    

お店回りツアーで 観光客も魅了する

「逸品」に選んだナイフを試していただき、お買い上げへつなげる

地域住民を対象に平成15年より始めたこのツアーは、店主たちがガイドになって、お客様を案内する。当初は8名ずつ2組程度の規模でスタートしたが、今では毎回50名近くもの申し込みがある。参加費用は逸品おやつとランチ付きの1500円(2015年3月現在)。回るお店は、1回の開催につき5~6店舗ほど。当初は、もっと多くの店舗を案内していたが、お客様がゆっくりと商品を見たり、店主との話に花が咲いたり、また購入希望が多いため、一店舗での滞在時間を多くとろうと、思い切って数を絞り込んだ。開催日は平日に設定している。ツアーのターゲットの主婦層が、休日よりも平日の方が参加しやすいからだ。

回を重ねるごとに、参加者のニーズを反映させて開催内容を工夫しながら実施してきたこの「お店回りツアー」は、視察対応などで県外訪問客にも人気が高かったことを受け、平成25年より更にバージョンアップする。 “旅人版”として、県外からの観光客を対象にツアーを組み立てることとしたのだ。それを記念して、新しい揃いのガイド用半天も新調した。背中に記された「しんまちの逸品」の文字を囲む模様は、新町の街並・東北新幹線・青森港などをかたどっており、この街が青森を代表する玄関口としての顔を担うという強い想いを背負っている。この旅人版”は、県や市の観光ツアーのコースにも組み入れられるようにもなる。

“旅人版”の「お店回りツアー」は、ランチ+ティータイムのAコース(2,000円)、ティータイムのみのBコース(1,000円)の2種類で、大人数の観光ツアーや、夫婦、友達との小旅行にも臨機応変に対応する。ツアーの申込時の聞き取りと、人数、性別、年代なども考慮しながら、これまでのノウハウを生かし、事務局と委員長とでお客様にピッタリのお店を選択する。




意外にも、遠方からの観光客が「いわゆる観光みやげ」以外の商品を買い求めるケースも少なくないという。「こんなのを探していたの。大きさも、重さもピッタリ。ここは品揃えが豊富」と、うれしそうに鍋や包丁などの生活用品を購入されるお客様も多い。専門店ならではの強みが発揮されているのだ。結果的にツアーは、観光客相手であっても、消費者と良い商品との出会いの場となっている。


 

堀江重一事務局長

「逸品」と「ツアー」がお互いの質を高めながら、12年にわたり続いてきた「しんまち逸品お店回りツアー」は更なる広がりを見せ、近年、夜バージョンの「逸品つまみ食いちょい飲みツアー」やお菓子に特化した「スイーツツアー」、お客様の要望でコースを組む「オーダーメイドツアー」も実施するようになった。これらのツアーの組み立ては、研究会を通して各店舗の情報を持ち、経験を積んできた事務局と委員長で担う。ツアーは、定期開催として年間で6回の開催が企画されているが、これら様々な要望に応えているうちに、実際には年間20回ほども実施している。

「平成28年3月予定の北海道新幹線の開通も、視野に入れています。どうやって、新町商店街に立ち寄っていただくか。大切なものは、おもてなしの心と、それがこもった商品であり、その準備は、逸品運動を通してすでに出来上がっています」と、堀江重一事務局長は語る。


地元の大学と連携し、逸品情報をスマホで見られる形態にする実験事業等も開始する予定。今後も、各個店が逸品を中心に魅力をアップし、事務局と逸品研究会でその魅力を引き出す企画を充実させながら、商店街の良いところをアピール出来るツアーに磨きをかける。

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