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全国の魅力的な商店街をつくるための取り組み事例をご紹介します! 商店街活性化事例レポート

まちゼミの定期開催を軸に地域に愛される発信型商店街へ イベント 地域振興 各種連携 情報発信 コミュニティ

独自のアレンジで「まちゼミ」をアピール。魅力ある商店街づくりを目指す。

商店街名 新大工町商店街振興組合(長崎県長崎市)

最盛期と比べて来街者が4分の1以下に減少

長崎駅前から路面電車で揺られること約7分の地にある商店街が、「まちゼミ」を活かして個店同士の結びつきと、地域との交流を深めている。アクセスに便利な中心市街地の東部に位置し、諏訪神社やシーボルト記念館など、歴史薫る史跡や文化施設に囲まれたシーボルト通りに、生鮮食料品や日用品、飲食店といった約110軒の暮らしに役立つ個店が並ぶ新大工町商店街がその舞台だ。明治初めから続くという、市内でも古い歴史を持ち、昭和40年代の最盛期には一日約2万5千人の来街者でにぎわったといわれる。しかし、商環境や周辺地域に暮らす人々のライフスタイルの変化、さらには昨年の玉屋デパートの閉店も影響し、現在は一日約7千人にまで落ち込み、加速する来街者の減少と活気の消失がここ数年来の課題となっている。

 
通称「シーボルト通り」と親しまれている商店街。新大工町市場と天満市場を含め、
個性豊かな約110店舗が並ぶ

商店街の救世主となる 「まちゼミ」との出会い

この状況を打開するべく、'14年1月、新大工町商店街を含む周辺地域の生まれ変わりをめざし、時代のニーズに合った再開発計画の検討を進める新大工町地区市街地再開発準備組合が組織された。この動きに先駆けるかのように新大工町商店街では、'09年に振興組合の副理事長以下の若返りを図り、30~40代の若手メンバーを中心に、商店街の活性に向けたさまざまな取組みが活発化。なかでも長崎市内では初めての取組みとなる「まちゼミ」の活動が商店街の活気を取り戻すことに大きく貢献を果たし、各メディアで取り上げられ、注目を集めている。
「これまで商店街では個店の売上の伸び悩みや減少を感じながらも特別な対策を打つこともなく、'99~'09年の10年間、夏祭りと歳末の年2回のイベントしか行ってきませんでした。また、商店街を歩く人は昔から利用してくださっているお年寄りが中心。今後20年、30年と商店街が存続し、繁盛していくためにも若い世代が魅力を感じ、買い物に来て頂ける商店街づくりを行う必要性を感じていました」と振興組合副理事長兼会計理事の児島正吾さんは語る。
 その想いをもとに、4年前にハロウィンイベントを企画し、仮装コンテストやダンスパーティを行ったところ、家族連れが数多く参加。イベントの成功を実感すると同時に周辺地域に若い世代のファミリー層が意外にも多く暮らしていることに改めて気づかされ、商店街の新たな顧客層として取り込んでいきたい想いがさらに高まったという。「そして昨年、長崎県商店街振興組合連合会のセミナーで『岡崎まちゼミの会』の松井洋一郎さんの講習に参加したところ、すぐにこれだ、やってみたいと直感したんです。その日のうちに支援センターの『まちゼミ研修事業』に申し込みました。理事長には事後報告になりましたが、快く賛成してくれました」と美容室「D‐born」代表を務めながら振興組合の理事として活動する松尾康正さんは、「まちゼミ」との出会いを振り返る。

個店の横のつながりをつくることで、全員が商店街の将来を考えるように

ノウハウを独自にアレンジし「まちゼミ」をアピール

キャラクターの「新大工ん」を含め、情報を積極的に発信。新しい発見や楽しみを提供する魅力あふれる商店街を目指す

加盟店で100 円ごとにスタンプをもらい、台紙1 冊貯まると500円券に交換

初めての試みの「まちゼミ」を1回では決して終わらせない。それが松尾さんの考えだった。定例化を見据え、いかに参加店の数をそろえ、多くの方に来てもらうかをメンバーと日々議論を重ね、まずはチラシの制作に取り組む。他の地域で行われている成功例などを研究し、独自のアレンジを加えた。「参加する方々がチラシを見て行ってみたいと親しみを持てるように、また、参加店舗の雰囲気や魅力が伝わりやすいように、チラシに掲載する写真は、ゼミを行う店主の自然な表情を引き出せるよう商店街のプロのカメラマンに依頼し、撮影をお願いしました」と松尾さん。
 また、市役所など行政との連携、各店からの声掛けなどによって新聞やテレビといった各メディアでも取り上げられたことが功を奏し、'14年10月の「第1回新大工まちゼミナール」は参加店舗20店、来場者160名という成功を収めることができた。
「正直、ほっとしましたね。けれど、同時に課題も見えました。2回目の開催に向け、より多くの人に『まちゼミ』を知って頂く方法や参加店舗の募集方法を工夫する必要性を感じました」と、松尾さんは反省点を語る。

次なる課題を洗い出し 告知方法を練り直す

市が取り組む「長崎さるく」に参加し、街の伝統や文化を紹介する和菓子の老舗「千寿庵 長崎屋」

そこで、さらなる集客をめざすために、フェイスブックを活用した情報発信を開始。加えて商店街周辺にある4校の小学校に協力を仰ぎ、全校生徒にチラシを配布してもらうことを決めた。そこには、子どもたちを介して父兄に情報を伝達することで若いファミリー層を取り込む狙いがあった。また、参加店舗を募るにあたり、「ともだち紹介カード」を作成。信頼できる店主から信頼できるお店を紹介してもらい、新規参加店の開拓を狙った。このような独自の工夫を加えた結果、'15年4月の第2回目では、参加店舗26店、来場者200名の効果を生んだ。「この『まちゼミ』によって、個店同士の交流が生まれ、お互いの店をお客様に紹介する関係ができるなど、横のつながりが固く結束されたのを感じています。また、商店街を歩くお客様の層や流れにも変化が生まれ、商店街が元気づいてきているのを実感しています」と松尾さん。
 また、「平井餅まんじゅう」を営む青年部会長の平井栄一さんは、「『まちゼミ』で商店主が講師となることで、自分がつくって販売していた商品を改めて振り返り、長崎の食文化についてもより知識を深めるきっかけにもなった。普段の接客にも積極性が生まれました」と笑顔を見せた。
また、「まちゼミ」や「新大工町地区市街地再開発事業」などの商店街活性化の取組みは、長崎市と地域が連携してまちなかの再生を図る「まちぶらプロジェクト」の一環として展開されている。その他にも、「喜助うどん」は個店の前にまちぶら休憩所として「新大工たぬき庵」を設置し、来街者の回遊を促す取組みを行っている。また、長崎のまち歩き観光「長崎さるく」に参加し、長崎の魅力を発見するガイド役を担う個店もある。
副理事長の児島正吾さんは、「魅力ある商店街とは、“良い店舗の集まり”。各個店が力をつけることで、商店街そのものや自分たちの〝まち〟の価値を上げることができると考えています」と語る。それを表現・展開すべく、今後も「まちゼミ」を年2回の主要なイベントとして継続しながら、若手のさまざまな発想とともに、各個店が発信できる商店街の核となる店づくりをめざしていく。

 
商店街の中に買い物途中にひと息つける、まちぶら休憩所を増設

 

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