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全国の魅力的な商店街をつくるための取り組み事例をご紹介します! 商店街活性化事例レポート

繁盛店づくり事業 実践コース 地域振興 販売促進 個店活性

▶平成24年度 個店の魅力アップ入門事業
▶平成25年度 繁盛店づくり実践プログラム事業

平成24年度に一つの試みとして受けた「個店の魅力アップ入門事業」をきっかけに、3年継続して意欲的に繁盛店づくりに取り組んでいる一身田商工振興会。その効果は、参加店それぞれの魅力アップや売上増加だけにとどまらない。地域活性化への意識共有が進み、商店街全体で取り組むべき具体策を互いに話し合う下地もできた。

商店街名 一身田商工振興会(三重県津市)

歴史ある古い町の商店街活性化の第一歩

古くからの町並みに商店が並ぶ商店街。店は仲之町通りを中心に点在する

所在地:三重県津市
会員数:70名

 JR一身田と東一身田、近鉄高田本山の3つの駅に囲まれた津市一身田町は、津から電車で数分の交通至便の地だ。町の中心地は約500㍍四方の環濠(かんごう)に囲まれた真宗高田派本山・専修寺の寺内町である。江戸時代には伊勢参宮道中の名所としてにぎわった町で、今も至る所に築100年以上の建物が残る。
 この寺内町は、40年程前までは周辺地域からも買い物客が訪れにぎわっていた。しかし、郊外のバイパスに大型店舗ができ、客足が激減。江戸の名残をとどめる町は道幅が狭く、車社会には順応できない。加えて、高齢化による跡継ぎ不足も深刻で、130あった振興会の会員数は現在は70。この衰退を食い止めるためには何をしたらよいか—。振興会メンバーが動き始めたのは3年前のことだ。
 「何かしなければならない、でも何をしたらいいのかわからない。そんな時、『繁盛店づくり事業 入門コース(旧:個店の魅力アップ入門事業)』を知りました」と、振興会の中川隆功会長。「1日だけなので試しに受けてみたら、これなら自分たちでも取り組めそうだ、と。それで昨年度本格的に『実践コース』に進むことにしたんです」。

 

中川隆功会長。
経営する「中川洋装店」も商品が見やすくなった

                                                                                                         
 

昨年度の取組みでは各店とも売上アップ

自店の客観的イメージをマトリックスで把握するワークショップ

昨年度の参加でディスプレイも大きく変わった菓子店「岡田屋」

「繁盛店づくり事業 実践コース(旧:繁盛店づくり実践プログラム事業)」は約4ヶ月間に渡るプログラムだ。「全体研修」を3回、「臨店研修」「参加店会議」を各4回。その他に通信指導などが行われる。昨年度の事業では、6店舗が臨店研修に参加した。
 事業では、第1回目の臨店研修で講師が各店舗を訪ね、店主とともに問題点や課題を整理し、改善目標を立てる。それを受けて各店舗では、次回までの宿題として改善プランに取り組む。店内の写真を撮り、研修前後の変化を客観的な目で確認するのも大切な作業だ。
 第2回目の臨店研修以降は、講師の指導で具体的な改善の実行と検証を進めていく。POP、店内の動線、ファサードなど、学ぶべきポイントは多岐に及ぶ。臨店研修後に実施される参加店会議では、臨店研修で得た知識を参加店同士が共有する場であるとともに、コラボ企画などを検討する戦略会議の場でもある。
 全体研修では臨店研修対象外の店舗も加わり、臨店研修の報告会や他地域の事例研究などを行いながら商店街全体で繁盛店づくりの意義やノウハウを学ぶ。
 昨年度の事業で、呉服店「オカモトヤ」は、商品を見やすい配置に変え、古い織機を置いた「伊勢木綿コーナー」を作り、店内の雰囲気づくりを行った。「お客様に、お店が『変わったね』と言われるのが何よりうれしい。売上も伸びました」と6代目は語る。菓子店「岡田屋」、中川会長の「中川洋装店」でも、ディスプレイやPOPについてのアドバイスを実践したところ、売上アップに繋がった。また参加店会議などの話し合いを経て、和菓子店と醤油店とのコラボ商品も開発、販売された。

 
 

かつての町の活気を取り戻すために

今年度の臨店研修の様子
「下津醤油」にて

「田中屋商店」の臨店研修
講師は水井澄人先生

昨年度の成果を受け、振興会では今年度も引き続き「実践コース」への参加を決めた。今年度は、全体研修に新たにワークショップが加わり、臨店研修参加店以外の人々が主体的に参加できる場が増したことで、振興会全体での繁盛店づくりの気運はさらに高まっている。
 その高まりは、繁盛店づくりだけにとどまらない。「子どもの頃ににぎわっていた町が寂れていくのは寂しい。個々のお店が活力を取り戻すことから始まって、町全体の活性化につながっていけたら」—振興会役員 下津浩嗣さんのこの言葉をなぞるように、この2年半、事業を通じて頻繁に顔を合わせる振興会のメンバーたちから、町全体を一緒に盛り立てていくための様々なアイデアが提案されている。
 「一身田幸せ和婚」は、そのアイデアが実現した一例だ。公募で選んだカップル一組に、仏式の結婚式を行ってもらい、町全体で祝う。新婦は十二単を纏い、挙式後は新郎新婦が馬車でパレード。馬車の後ろには100人もの和服姿の地元有志が行列を作り、町を練り歩く。商店街は「寿」のイメージで商品を揃え、多くの店舗がウインドウにひな人形を飾る。
 町全体が一丸となり「大正ロマンの雰囲気」を醸し出すこのイベントは、一身田の古い和の町の魅力を最大限にPRするものとして昨年企画され、国の補助金を利用して実施された。そして今年の第2回目は、クラウドファンディング※という、新たな資金調達の仕組みを活用して開催される。
 「今後は、専修寺への参拝者をいかに商店街に回遊させるかを考えていきたいですね」と中川会長。繁盛店づくりから最初の一歩を踏み出した、この歴史ある町の新しいチャレンジは、今後も続いていく。

※ クラウドファンディング:インターネット上で不特定多数の賛同者から小口融資を募る資金調達の仕組み

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