Archive for 9月, 2017

子ども図書館から生まれた商店街の文化

あっという間に9月、秋に入りました。朝晩は、窓を開けるとひんやりとした風が入ってきます。気温18度前後は集中力が高まると言われ、湿度が低く過ごしやすい秋は読書に最適なのだとか。実は、商店街でも、古本市や空き店舗を利用した手作り図書館など、地域住民と商店街の交流のきっかけとして、読書文化を取り入れる動きがあるんですよ!

別府駅の高架下にある北高架商店街(大分県別府市)にも、街のコミュニケーションツールとして一役買っている、小さな図書館があります。元々は、商店街の一角で古いたんすに本が入れられていただけのこの図書館は、フリーマーケットに来ていた子どもたちの提案で2012年に登場ました。子どもたちはこれを「つばめ図書館」と名付け、自分たちで読み聞かせや本の管理も行っていました。
商店街は築50年ほど。以前は空き店舗も多く、駅への近道にもかかわらず通りは閑散としていたため、商店街に人が滞留する仕掛けをつくろうと、店主たちは毎週土曜日のフリーマーケット開催を決意。親に連れられ遊びに来ていた子どもが退屈しないよう、各店舗に絵本を置き、それを読んでいた子どもたちが、「図書館を作りたい」と言ったことがつばめ図書館誕生のきっかけに。

「商店街はただの通り道と化していて、ここに来ることが目的にはなっていない。商店街を魅力的なものにするには、もっと文化的な側面が必要なのではないかと考えました。元々、街中に本があったらいいなと思っていましたし、子どもの教育の観点からも本と触れ合うことは大切だと思っていたので、子どもから図書館をやりたいと言われた時は大賛成でした」と、商店街でレコード店を営む日名子英明さん。
その頃、別府にアートの機運が高まり、JR別府駅と協同で商店街の通り一帯に絵を描くことに。約3年をかけ、壁面、地面、トイレに至るまで絵を描き、つばめ図書館の存在も含めて商店街全体が一つのアート作品として完成しました。
その後、図書館は子どもたちの手を離れ各店舗の店主が引き継ぎました。子ども向けの本以外も置くと、足を止める人の姿が徐々に増えていき、「こんな本があるならこれもおすすめ」と提供者も次々と現れ、本が収まりきらなくなり今回の書棚の完成へと至りました。現在本の数は200冊ほど。「こんな本は置いてないの?」などの問い合わせもあり、本をきっかけにお客さんと店主の間に会話が生まれ、商店街が少しずつにぎやかになっていきました。さらに図書館の横にはピアノも設置され、時折ピアノの優しい音色が街に流れます。商店街のいたるところに各店が用意したイスが置かれ、お店に入らなくても気軽に休憩できるような気づかいも。
「図書館と言えるほど大きな存在ではないですが、本をきっかけに人と人がつながったり、店の外のイスでコーヒー片手に一休みしてもらったり、ゆっくりとした時間を過ごしながら、本に触れて少しでも多くの時間を商店街で過ごしてもらえたらと思っています。」と日名子さんは話してくれました。いつもは買い物をしている商店街で、本やアートに触れて秋のひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか?