【記者の目】大工町再開発着工へ 構想から20年、水戸中心街活性化に期待
水戸市の大工町1丁目地区市街地再開発事業は、地元組合と施工業者となる長谷工コーポレーション(東京)、株木建設(水戸市)が特定業務代行基本契約を結んだことで大きく前進した。構想段階から20年が経過。早ければ2013年に高層マンション、ホテル、業務棟が姿を現し、中心市街地活性化の救世主となるよう周囲の期待は熱い。■合意形成に時間
地元住民が大工町・雷神前地区活性化方策会議を開いたのが1990年6月。水戸信用金庫本店移転が確実となり、再開発計画が急浮上した経緯がある。
着工に至るまで20年余かかったのは、一つには地権者の集まりである大工町1丁目地区市街地再開発組合の「組合設立、意見集約、合意形成に時間を要した」(同組合)ため。また都市計画決定、本組合設立・事業認可、権利変換計画認可といった行政手続きを積み重ねなければならず、段取りが容易ではなかった。
権利変換計画というのは、再開発前の土地・建物を評価して、再開発ビル内に権利床として移すこと。等価交換だが、現在の建築物の価値の方が高いので床面積は多少減るのが通常。中にはほかの土地に移り住む人もいる。
再開発の手法はよく土地区画整理に例えられ、保留地に当たるのが住宅や業務の保留床で、保留床の売上金を事業費に充当する仕組み。
■県内初の事業採用
長谷工・株木は目下、事業費を約100億円に減額した計画を精査している。ホテル、マンション、業務棟、駐車場の骨格は変わらないが、建設費に合わせて多少の変更は出る可能性もある。
例えばホテルの運営委託先としてはホテルオークラ(東京)が有力とされていたが、建物仕様のグレードが高く予定価格を上回ってしまうとの指摘もある。
再開発組合はホテルオークラを含めて複数社と交渉しているが、どこのホテルを選定するか注目される。業務棟に入るクリニックモール、福祉サービスのテナントとしては市外の病院と話を進めている。
特定業務代行方式は、県内では初の事業採用で、組合から委託された建設業者が実施設計、施工するほか、売れ残った物件が出た場合、最終的に処分責任を負うのが特徴。再開発組合が負うリスクを最大限減らしたともいえる。
■余儀なく変更
JR水戸駅北口から大工町に至る水戸市の中心市街地は空洞化している。郊外への大型量販店進出の影響が大きい。93年に南町のユニー水戸店が閉店。その後、ボンベルタ伊勢甚水戸店、ダイエー水戸店など大型店が相次いで撤退した。駅前のリヴィン水戸店も2009年に廃業し、寂しさは否めない。
一方、ボンベルタ伊勢甚水戸店跡に06年、京成百貨店がオープンした。再開発事業の手法を取り、再開発ビルに水戸京成百貨店が核店舗として出店した。
問題は水戸京成百貨店跡地利用だ。同市泉町・大工町周辺地区開発事務所によると、03年6月に準備組合が設立されたが、事業の進行状況は「山を登り始めたところ」(同事務所)で、まだ先は長い。構想では水戸芸術館や京成百貨店と一体化させて水戸駅前に匹敵するようなにぎわい創出を図る。
市街地の再開発は一筋縄ではいかない。官民で英知をしぼり計画を練り上げても、長い年月の間には経済状況の変化で変更を余儀なくされることもある。大工町の例では資材費の高騰などで業者選定の入札が不調だったこともあった。
【ことば・大工町再開発】
組合の計画では、移転した水戸信金本店跡地を含む敷地約1.5ヘクタールに地上11階建てのホテル、同23階建てのマンション、業務棟、立体駐車場4棟を建設する。マンションは大和ハウス工業が買い取り、分譲する。建設地はJR水戸駅北口から国道50号を西へ約2キロ。
茨城県【茨城新聞】Thu, 29 Jul 2010 16:54:39

